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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第135話:残酷で、だけど優しくて
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頭上に浮いていたのだ。
「それは、まさか……!? ファントムッ!? 馬鹿な、飛び出してきやがったのかッ!?」
一応、魔法の中には自身の中に眠るファントムを呼び出す物が無い訳ではない。だが透は、何の魔法も介さず、それでいて己を肉体諸共維持しながらファントムの力だけを可視化できるほどに具現化しているのだ。
その本来であればあり得ない光景に、ハンスだけでなく本部でモニターしていた弦十郎達も息を呑んだ。
「あれは、一体……?」
「あれが透の修行の成果です」
言葉を失った弦十郎に、アルドが静かに説明する。
「魔法の中には確かに、ファントムを具現化させるものもあります。ですが透は修行により自身のファントムの力を制御した結果、その力を魔法を介さずに操る事に成功したのです」
言ってからアルドは否、と自身の発言の一部を否定した。あれはファントムの力を操っているのではなく、共闘していると言った方が正しい。
恐ろしいのは透の信じられないまでの精神力の強さである。力に屈する事も、力に呑まれる事も無く、自身の内側に眠る力と手を取り合い力を共有した。
推測だが、透の中に眠るファントムと透自身の相性がこの上なくマッチしているのだろう。能力的にも、そして精神的にも。
1人の少女を守る為に己の命を懸け、且つ正々堂々とした騎士道精神に溢れる少年。その彼の中に眠る力が具現化した存在もまた、見た目通りに騎士道精神に溢れていたのだ。その両者が共感する事で、倍以上の力が発揮できる。
透が修行により得た力がそれであった。
「このぉぉぉっ!」
一瞬怯んだハンスだが、気を取り直して再び透に突撃する。ファントムの力を具現化させているとは言え、彼はまだ生身。やりようは幾らでもあると思っていた。
だが透の頭上に出現した半透明なファントム「デュラハンファントム」は、透の前に移動すると再び腕でハンスの攻撃を受け止め、反対の手に持つ剣で反撃の一撃をお見舞いし引き下がらせた。
「ぐぁっ!? くっ!?」
ハンスを引き離した透は、一度振り返りクリスに向けて笑みを見せる。その笑顔からは、透の確かな想いが伝わってきた。
大丈夫。何処にもいかない。クリスは一人ぼっちなんかじゃない。
彼の想いが確かにクリスの心に届いた瞬間、それまでクリスの心を覆っていた暗い気持ちとか、脳裏に浮かんでいた殺風景な景色が綺麗さっぱり吹き飛んだ。
クリスの表情からそれを察した透は、前を向くと再びメイジに変身した。
〈チェンジ、ナーウ〉
透がメイジに変身すると、それまで姿を見せていた半透明なファントムは彼の中に引っ込んでいった。その事にハンスは変身すれば所詮同じと僅かながらに油断し
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