暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第135話:残酷で、だけど優しくて
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と調の姿もある。2人も意識を失っているのか、ボロボロの姿で目を開けずに倒れている。

 仲間が、後輩が、愛する者が皆倒れたその光景に、クリスは手足が先から冷たくなっていくのを感じた。

「結局……アタシは一人ぼっちなのか……。いや、一人ぼっちが、仲間とか友達とか、先輩とか後輩……恋人なんて、求めちゃいけないんだッ!」

 最初から1人で居れば、こんな思いはしなくて済んだ。

 誰とも関わる事さえなければ、喪失に悲しむ事は無かった。

 自分が関りさえしなければ、透も、切歌も、調も、誰も彼もがこんな目に遭わずに済んだ。

 クリスの心を暗い後悔の念が塗りつぶしていき、その目からは涙が零れ落ちる。

「でないと……でないと……ッ! 残酷な世界が皆を殺しちまって、本当の一人ぼっちになってしまうッ!」

「何で……世界はこんなにも残酷なのに、パパとママは、歌で世界を救おうとしたんだ……」

「透は何で……こんな世界が信じられるんだ……」

 もうクリスにはどうすればいいのか分からなかった。自分を導いてくれる親も、自分を守ってくれる恋人も信じられない。

 絶望と悲しみに暮れるクリスに、透を始末したと思っているハンスがゆっくりと近付きダイスサーベルの切っ先を彼女の首に近付けた。

「何を泣いている。お前の役目は唄う事だろ? ならさっさと唄え」
「う……うぅ……」

 もう全てがどうでもよくなりつつあるクリスは、自分の首筋に刃が突き付けられ薄皮が切れて血が流れている事も気にしない。

 否、この場で討ち取られても構わないと言う諦観すら感じていた。そうすればいっその事楽になれると。

 ハンスにもクリスの諦めが伝わったのか、失望の溜め息を吐くとクリスを始末しようと剣を振り上げる。唄えない装者など邪魔でしかない。

「もういい。お前はキャロルの計画に必要ない。邪魔者は……消えろ!」

 クリスの胸元に向け放たれる刺突。そのままハンスの剣が、クリスの心臓を貫くと近くで見ていたレイアは漠然と予想していた。

 だがその予想は大きく裏切られ、クリスの胸元に向けて迫っていた刃を透が素手で掴んで止めた。

「ッ!? な、にぃっ!?」
「えっ? ぁ、透……?」

 あわやと言うところで意識を取り戻した透は、クリスに迫る凶刃をその手で掴んで止めていた。その結果透の手が裂けて血が流れ落ちるが、透は刃を掴んでいる手の力を微塵も緩めない。
 それどころか、徐々に押し返してすらいた。バッファマントを纏い、通常時よりもパワーが増している力を押し退けてである。

「そん、な……馬鹿な……!?」

 信じられないと仮面の奥で目を見開くハンスは、それ故に気付けなかった。

 残り2人も既に意識を取り戻してお
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