暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第135話:残酷で、だけど優しくて
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クス! セイバーストライク!〉
「逃がすかぁッ!!」
「ッ!? ハンス、待てッ!!」

 透の背中に向けてセイバーストライクを放つハンスだが、頭に血が上っている彼はある事を失念していた。

 今の透の延長線上には、クリス達装者が居る。キャロルの計画の為には、魔法使いによりオートスコアラーが倒される訳にはいかないが、同時に装者が迂闊に倒される訳にもいかないのだ。
 或いは想い出の焼却が進み過ぎて、その事を失念していたのかもしれない。

 兎に角、レイアが警告した時点ですでにハンスはセイバーストライクを発動し、透の背に向けて最大火力の魔力で出来たバッファロー6体を放ってしまっていた。あの威力なら、透だけでなくその先に居るクリス達も無事では済まないだろう。

 そのレイアの警告の意味に、気付いたのは皮肉にも狙われていた透の方であった。透はこのままではクリス達が攻撃の巻き添えを喰らうと気付くと、咄嗟にその場で足を止めハンスのセイバーストライクを全て己の体で受け止める事を選択した。

「透ッ!?」

 両腕を広げて壁になる透。魔法の障壁を出す暇も無く、その身で魔力のバッファローを6体受け止めた。

 予想通りその威力は凄まじく、透の姿が一瞬爆炎により見えなくなった。その光景にクリスが悲鳴のような声を上げるが、煙が晴れた時そこにはまだその場で立ち尽くす透の姿があった。

「透ッ!」

 一瞬安堵するクリスだったが、煙が晴れ透の姿が鮮明に見えるようになるとその表情も曇った。

 今の透は正しく満身創痍。全身ボロボロで、クリスからは見えないが仮面にも罅が入っているほどだ。
 しかもダメージはかなり大きかったらしく、膝がガクガクと震え立ち続ける事が出来なくなったのかその場に崩れるように膝をつく。変身しているだけで精一杯という様子の透だったが、ハンスはそんな彼にも容赦しなかった。

「これで、終わりだ」
〈キックストライク! ゴー!〉
「ッ!? 止せ、止めろッ!?」

 トドメを刺そうと、必殺技のストライクビーストを放つハンス。それに気付いたクリスが手を伸ばして懇願するが、ハンスはそれを無視してもう満足に動く事も出来ない透に必殺の飛び蹴りを叩き込んだ。

「ハァァァァァァッ!!」

 動けない透の胸板に、ハンスの足が突き刺さる。無防備に攻撃を受けた透は、エネルギーの破裂による爆発で吹き飛ばされ壁に叩き付けられた後に力無く倒れた。

「透ッ!?」

 クリスが慌てて駆け寄ると、同時に透の変身も解除された。ボロボロになった透を、クリスが抱き起す。幸いな事にまだ息はあるが、意識を失っているのか動く事は無い。

「透……ぁっ」

 動かない透を抱き起しながらクリスが周囲を見れば、そこには並んで倒れた切歌
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