第二章
[8]前話
「あの娘よくベッドに入るけれど」
「それがランはその時枕元にいて」
「見たらそうだったんだ」
「違ったのよ」
「そうなんだね」
「ええ、だからベッドに入って来たのは」
それは誰かというと。
「どうもね」
「あの娘だったんだね」
「ミカだったのよ」
まさに彼女だったというのだ。
「どうやらね」
「君に会いに来てくれたんだ」
「そうみたい、私暫く風邪ひいてたでしょ」
夫にこのことも話した。
「三十九度あった時もあって」
「大変だったね」
「この一週間ね、多分ね」
「君を心配してなんだ」
「魂がね」
それだけの状況になってというのだ。
「そのうえでね」
「来てくれたんだ」
「そうだと思うわ、だから今度の休日実家に戻って」
そうしてというのだ。
「お庭のミカのお墓にね」
「お参りするんだね」
「そうするわ、お線香あげて手を合わせるじゃ」
「じゃあ僕もね」
夫は妻の言葉を聞いて言った。
「一緒に行っていいかな」
「それで手を合わせてくれるの」
「駄目かな」
「そうしてくれたら嬉しいわ」
目玉焼きを食べる夫に笑顔で応えた。
「それじゃあね」
「うん、今度のお休みの時にね」
「行きましょう」
こう話してだった。
次の夫が仕事で休みの時に二人で香耶の実家に帰った、そうしてだった。
家のミカの墓に手を合わせて線香をあげた、すると。
「ニャ〜〜〜」
「聞こえたね」
「ええ、今確かにね」
夫婦で笑顔で話した。
「聞こえたわ」
「あの娘の声だね」
「そうね、私達がお参りして喜んでるね」
「そうだね」
「風邪ひいたことに心配して来てくれたからお礼でお参りしたけれど」
「喜んでくれているみたいね」
「いい娘だったけれど」
生前もとだ、妻は笑顔で話した。
「今もね」
「いい娘だね」
「とてもね」
夫に猫の墓の前で笑顔で話した、そしてだった。
実家の中に入って彼に猫の話をした、それはとても暖かく優しいもので聞いている方も自然と笑顔になるものだった。
心配した魂だけでも 完
2022・11・25
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