第一章
[2]次話
昔のカット
トイプードルは巻いた人間の髪型で言うパーマの様な毛である、それは国咲家のふわりも同じである。
一家はそんな彼女の毛が好きでトリミングを欠かさず整えている、だが。
ある日だ、国咲家の息子である洋介は家の中で今はケージの外で自分のおもちゃで遊んでいるふわりを見て母の百合子に言った。
「昔のトイプードルのカットって違うよな」
「ところどころ毛を完全に剃ってるのね」
「足の上のところとかマズルとか目の周りな」
「奇麗にカットしてるわね」
「あれはあれでお洒落だよな」
こう母に話した。
「そうだよな」
「ええ、それがどうかしたの?」
「うちはしないんだな」
こう母に言うのだった。
「あのカットは」
「だってね」
「だって?」
「あれお水に入る為の恰好だから」
こう妻に話した。
「お自ら出ても濡れる場所が少ないから」
「だからか」
「拭きやすいからよ」
「トイプードルって元々狩猟犬で」
「水鳥捕まえるのがお仕事だったでしょ」
「ああ、飼い主が撃ってな」
そうしてというのだ。
「水辺に落ちた水鳥をな」
「それで濡れない為にあのカットをして」
そしてというのだ。
「それがお洒落に思われたからね」
「昔はトイプードルはあのカットだったんだな」
「今もそうしている人いるわね」
自分の家族のトイプードルをというのだ。
「お洒落で」
「そうだよな、けどな」
「うちはしないのはどうしてか」
「ああ、親父もお袋も言わないよな」
ふわりをあのカットにしようと、というのだ。
「別に」
「好きじゃないからよ」
母はあっさりと答えた。
「お父さんもお母さんも」
「だからか」
「ええ、それはあんたもでしょ」
「ふわりは今が一番だろ」
そのぬいぐるみの様な外見の彼女を見て言い切った。
「ふわふわもふもふのな」
「あの感じがいいでしょ」
「一番可愛いよ」
今の状態のふわりがというのだ。
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