第2部
ダーマ
シーラの試練・後編
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れど、今みたいな状況では意外と役に立つみたい。
「……今は塔の二階みたいだな」
「そっか。じゃあナギちん、そこにある穴を覗いてみよっか」
「は!?」
あたしは目を白黒させているナギちんを連れ、床に空いている穴の傍まで行くと、彼に下を覗いてもらうように頼んだ。人一人余裕で入れるほどの穴は、少し前屈みになるだけで恐怖心が倍増する。
「なあ。別にお前が覗けばいいんじゃねえ?」
「だって怖いもん! これ以上落ちたくないし!」
乙女心がわからないナギちんを一蹴するあたし。あたしの予想が合っていれば、きっとこの下の階に……。
「おい、あれ!!」
これ以上ないくらい端的な状況説明に、あたしは恐る恐る穴から顔を覗かせる。見ると、すぐ真下に小さな宝箱が見えた。
「このくらいの高さなら飛び降りられそうだな」
そういうと、すぐにナギちんは穴から飛び降りた。もう、だからなんでこういうときに限ってさっさと先に行っちゃうかなあ。
「シーラ! 受け止めるから早く降りてこいよ!」
……前言撤回。やっぱりナギちんは最高の仲間だよ。
お言葉に甘えてあたしは、ひらひらするスカートの裾を押さえながら、ナギちん目掛けてジャンプした。
「うわっ、とと……」
あたしを受け止めた途端、ナギちんは衝撃のあまり後ろに倒れそうになったが、意地なのか根性なのか、歯を食い縛りながらなんとか持ちこたえた。
「ありがとう! 重かった?」
「いや、お前自体は全然軽いけど、あんな勢いよく飛び降りる必要ないだろ」
「いやー、あはは、つい安心しきっちゃって」
「ったく、ちっとはこっちの苦労も考えろっての」
はあ、とため息をつきながら、ナギちんは再びあたしを地面に下ろす。なんだか今日は、ナギちんに受け止めてもらってばっかりだなあ。
「見てみて、あの宝箱、他のと違うんじゃない?」
半ば誤魔化すように、あたしは目的の宝箱の方を指差す。するとそれに目を向けた瞬間、お宝に目がないナギちんの目が光った。
「確かに、雰囲気からして違うな」
ナギちんはいつになく険しい顔で宝箱に近づき、宝箱の周りを調べ始めた。こういうときは大体何かを警戒しているから、きっとあの宝箱に罠がないか注意して見ているのだろう。
けれど、すぐに張り詰めていた雰囲気が霧散する。どうやら罠はないようだ。
「大丈夫みたいだな。開けるぞ」
そう言って、宝箱に手を掛けると、ほどなく箱は難なく開いた。期待と不安が入り交じる中、中身を覗いて見てみると、その衝撃の事実に愕然とした。
「か……、空っぽ!?」
あろうことか、宝箱は空だった。何度見ても変わらないその現実に、あたしたち二人はしばらく立ち尽くす。
「な……ナギちん、『盗賊の鼻』使ってみて?」
「ああ」
今いるフロアの宝の数がわかる特技を
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