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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ダーマ
シーラの試練・後編
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出したら、皆怪しむんじゃないかって思ったから。
 実際ユウリちゃんには変に思われてたし、僧侶だったことは隠したかった。もしバレたら、なんで僧侶から遊び人に転職したかを説明しなきゃならなくなるから。
 ……なんだか自分で思った以上に、あたしって卑怯な人間なんだなあ、と自嘲する。
「……そんなことないよ。たまたまそう思っただけ」
 そう謙遜しつつも、なおも自分の本性を隠そうとする。あたしはホントにダメな人間だ。
「よし、んじゃ、早速渡ってみようぜ」
「え!?」
 一瞬耳を疑うような言葉が聞こえたのだけれど、気のせいかな?
 けれどやっぱり気のせいではなかったようで、いつの間にかナギちんは綱渡りを始めていた。
「危ないよ、ナギちん!!」
 まるで普通に地面を歩いているかのように難なくロープを渡るナギちんは、あたしの言葉など耳に届いておらず、むしろ楽しそうだ。こっちはヒヤヒヤしながら見ているのに。……そんなだからユウリちゃんに『バカザル』とか言われるんだ、きっと。
「なあ、お前が気になってた謎の空間って、この辺りか?」
 ゆらゆらと揺れるロープの上で、器用にバランスを取りながらナギちんは、あたしに向かって言い放つ。高所恐怖症じゃなくても腰が引けるほどの高さにもかかわらず、ナギちんはそれでも平然としている。
「う〜ん、もうちょっと先の方かな?」
「わかんねえから、お前もこっち来てくれよ」
「え!?」
 コノオトコハ、ナニヲイッテイルノダロウ。ふとそんな言葉が頭をよぎった。
「いやいやいやいや無理無理無理無理!! 絶対落ちるもん!!」
 あたしは必死に拒絶した。けれどナギちんは納得いかない顔で、
「けどよ、もしかしたらこの下に『悟りの書』があるかもしれねえだろ?」
「うっ!?」
 確かにこの下は怪しい。でも、ここから降りるなんて、どう考えても飛び降り自殺する人以外できっこない。ましてや遊び人のあたしがここから落ちて無事で済むわけがない。
 あたしが動かないでいると、痺れを切らしたのかナギちんは声を張り上げて言った。
「何迷ってんだよ! オレたちは何のためにここまで来たんだ?」
「!!」
 そうだ、あたしはユウリちゃんやミオちんと対等に戦うため、賢者になるためにここまで来たんだ。後戻りなんてできるはずがない。
「……わ、わかった。けど、時間かかるかもしれないから、待っててくれる?」
「この状況じゃ待つ以外の選択肢なんてないだろ」
 きっぱり言い切られ、あたしは苦笑しながらも準備を整える。
 深呼吸して、一度心を落ち着かせる。よし、絶対に下を見ない、下を見ない。もし見そうになったら、下にお父様とマーリンがいると思えばいい。
「よし!!」
 気合の一声を発したところで、あたしはロープに手を伸ばした。そしてすぐに下を
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