第二章
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「僕は」
「そうよね、私もよ」
「けれど父がお世話になってる人の紹介で」
「私もそうよ」
「断わるのもどうかと思って」
「私もよ、会うだけ会うってことにしたけれど」
それでもとだ、美桜は言った。
「こうしてね」
「実際にお会いして」
「お話してるけれど。それでね」
美桜は自分から言った。
「お見合いするってことは」
「結婚ですね」
「それをするってことだけれど」
「結婚ですか」
金剛はごくりと唾を飲んで応えた。
「僕が主任と」
「ええ、どうするの?」
「どうするかって言われても」
「若し結婚して会社で上司と部下とか」
「気まずいですね」
「そうしたケースもあるみたいだけれどね」
世の中ではというのだ。
「けれどでしょ」
「僕そういうの駄目です」
「私もよ。じゃあね」
「このお話はですか」
「なしにしようかしら」
こう言った時にだった。
美桜は慣れない着物を着てしかもこれまた慣れない草履と足袋で歩いていてだった、躓いてこけそうになったが。
金剛は咄嗟に彼女の身体を抱いてこけない様にした、この動きにだ。
美桜は胸がきゅんとなった、それで態勢を戻してから顔を赤くさせて話した。
「・・・・・・また二人でお話しましょう」
「えっ、いいんですか?」
「貴方がよかったらね」
彼に顔を向けて話した。
「いいわ」
「僕も何か」
美桜の身体に触れて感じたものがあって答えた。
「そんな気持ちになってきました」
「まずはお礼を言わせてもらうわ」
こけそうになったところを助けてもらってというのだ。
「有り難う」
「いえいえ」
「それでね」
「はい、またですね」
「会いましょう、けれどね」
美桜は頬を赤くさせつつ話した。
「今ももっとね」
「お話をですか」
「しましょう、今の気遣い嬉しかったわ」
「いえ、当然ですよ」
金剛は謙虚な笑顔で応えた。
「危なかったですから」
「そこでそう言うのがよ」
「いいんですか」
「ええ、それでお話したくなったから」
「今もですか」
「そうしましょう」
こう言ってだった。
美桜は金剛とこの時も話してだった。
それからも度々会った、仕事の時はただその中で話したり一緒にいたりするだけであったがプライベートでも会って話をしてた。
彼の色々な一面を知ることが出来てそうしたところに親しみを感じていった、それは金剛も同じであり。
やがて二人は交際をはじめそこから遂にだった。
「そうか、これからはか」
「ええ、一緒にね」
美桜は父に金剛と一緒に話した。
「婚姻届けを出して」
「そうしてか」
「結婚してね」
「幸せになるんだな」
「そうするわ、それでね」
父にさらに言った。
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