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レーヴァティン
第二百六十七話 西に帰りその十一

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「長い歴史だが」
「豊臣秀吉さん位か」
「大坂城に伏見桃山城に聚楽第とな」
「あの人は好きだったな」
「しかしだ」
 こうした人物はいてもというのだ。
「おおむねな」
「建築好きな権力者いないな」
「築いてもだ」
 それでもというのだ。
「すぐに地震や台風で壊れる」
「火事や雷でな」
「江戸城もだ」
 この城もというのだ。
「火事で天守閣が焼けた」
「江戸時代のはじめにな」
「将軍で言うと家綱公の時代だった」 
 四代将軍である、大老松平正之を信頼し彼に幕府の政を委ねた為幕府の基盤は尚更確かなものになった。
「あの頃の大火事でな」
「十万人亡くなってな」
「そしてだ」
 それだけの犠牲を出してだ。
「江戸城にも及んでな」
「その火がな」
「天守閣まで燃えた」
「そうなったな」
「あの辺りは空気が乾燥してだ」
 江戸の街がある関東平野はだ。
「しかも風が強い」
「からっ風だな」
「冬はな」
「それで火事になりやすくてな」
「よく火事になった」
 そこから火事と喧嘩は江戸の華という言葉も出た。
「そしてだ」
「そうした火事もあってな」
「見事な建築を行ってもな」
「なくなることがあったな」
「そうだった、日本ではだ」
「例え建築をしてもな」
「何かあればなくなる」
 災害が起こればというのだ。
「それでだ」
「本当にそうした国だからな」
「その火事に地震、台風に雷とな」
「やたらあるからな」
「大雨もあればだ」
 それにというのだ。
「洪水もだ」
「雪崩だってあるな」
「まさに何かあればな」
「災害が襲って来るからな」
「例え見事な御殿を建てさせてもな」
 権勢を使ってというのだ。
「そうしてもだ」
「簡単になくなるな」
「戦なら逃れられる」
「政次第でな」
「だが災害はな」
 これはというと。
「どうにもならない」
「逃れられないな」
「本朝で怖いものと言えばだ」
「地震、雷、火事だな」
「あと親父が来るが」
「親父は置いておこうな」
 久志は笑って応えた。
「それはな」
「親父も昔のだ」
「頑固親父だな」
「むしろ家ではなくご近所のだ」
「雷さんみたいな人だな」
 藤子不二雄先生の名作お化けのQ太郎という漫画に出て来るキャラクターだ、野球のボールが家に入って怒ることが多いが実は結構温厚で優しかったりする。
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