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レーヴァティン
第二百六十七話 西に帰りその十

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「大運河は建設してよかった」
「中国にとってな」
「煬帝の功績だ」
 こう言っていいことだというのだ、事実煬帝は暴君と言われているがこのことは高く評価されている。
「かなりのな」
「そうだな、そして長城もな」
「同じだ」
「隋に必要だったな」
「国防の為にな」
 こちらはその為にというのだ。
「必要だ」
「北の遊牧民の侵入を防ぐな」
「古来よりあったがな」
 秦の始皇帝が築かせたことで有名だが実はそれ以前から戦国の各国が築いてそれで遊牧民の侵入を防いでいた。
「中国を統一してだ」
「その後でな」
「遊牧民族が問題でな」
「あの国の常だな」
 北の遊牧民達の存在がだ、事実隋もその後の唐も他の諸王朝も彼等の存在に頭を悩まし続けている。
「まさに」
「それでだ」
「その守りとしてな」
「超常を築かせた」
「これも必要だったな」
「そうだった、だがな」
「必要でもな
 このことは事実だがというのだ。
「それでもな」
「金と人手を使う」
「それは事実だからな」
「それが過ぎた」
 隋はというのだ。
「秦もそうだったが」
「始皇帝も有名だしな」
「始皇帝は長城にだ」
 余りも有名なこれの建設にというのだ。
「それに阿房宮と驪山陵だ」
「自分の宮殿と墓だな」
「始皇帝は無類の建築好きだった」
「それで三つ一度にやってな」
「民への負担があった」
「それは事実だな」
 久志も否定しなかった、だが秦の法が厳格で無慈悲だったかというと実はそうではなくわりかし弾力的に施行されていてこうした土木工事への労苦にも配慮されていた。
「それでどっちもな」
「統一してすぐにだ」
「国力を疲弊させたしな」
「潰れる一因にもなった」
「そうだよな」
「建築は必要だ」
 それ自体はというのだ。
「やはりな、しかしだ」
「考えないとな」
「無闇矢鱈にだ」
 それこそというのだ。
「行うとな」
「必要な場合でもな」
「国が疲弊してだ」
「民が苦しむな」
「そうなる、だからだ」
「お前も贅沢はしていないな」
「そもそも興味もないしな」
 贅沢にというのだ。
「豪邸に住みたい等とはな」
「宮殿とか御殿にもだな」
「もう御殿には住んでいる」
 そこにはというのだ。
「それならな」
「それで充分だな」
「日本で建築を好んだ権力者は少ない」
 英雄はこうも言った。
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