第二百六十七話 西に帰りその九
[8]前話 [2]次話
「もうな」
「贅沢だな」
「最高のな」
久志は笑って断言した。
「そうだろ」
「自分がそれで満足したらな」
「ああ、もう俺達はな」
「今の時点でだな」
「これ以上何の贅沢があるんだよ」
英雄に本気で問うた。
「暮らしには困っていないっていうのに」
「宮殿も今のそれでだな」
「何がいるんだ?建築だってな」
俗に権力者の病と言われている、始皇帝がその代表と言えるが古今東西権力の座にあると建築に多額の金と多くの人手を使い没頭するという。
「今の宮殿があればな」
「充分だな」
「お前もだよな」
「政や戦の為なら築くが」
「自分の為だけにはな」
「いらん、大坂城だけでだ」
自分達が住んでいる城だけでというのだ。
「もうだ」
「充分だよな」
「他に何がいる」
こうまで言うのだった。
「一体な」
「そうだよな」
「贅沢な宮殿や庭を多く築いてだ」
その様なことを行ってというのだ。
「何が面白い」
「全くだな、政や戦に必要なものでもな」
「多くの金と人を使う」
「つまり国力を使うからな」
「そうそうだ」
建築土木工事全体がというのだ。
「みだりに行うものではない」
「必要なものでも考えないとな」
「堤や橋もだ」
「運河だってな」
「全てな」
土木工事はというのだ。
「慎重に考えてだ」
「決めないとな」
「煬帝はそれで失敗した」
中国の歴史で暴君の一人とされるこの人物はというのだ。
「大運河に長城とだ」
「やたら工事を進めたな」
「そしてだ」
「高句麗も攻めたな」
「この戦を置いてもだ」
隋の滅亡の原因となったこの戦のことを言わずともというのだ。
「あまりにもな」
「土木工事が過ぎたな」
「大運河もだ」
これの建設もというのだ。
「多額の予算と膨大な人手を使った」
「そうだったんだよな」
「そこにだ」
「万里の長城もあったな」
「どちらも必要だったがな」
隋の為にはというのだ。
「大運河は黄河と長江をつなげた」
「二つの大きな川をな」
「これによってだ」
「二つの経済圏と穀倉地帯がつながったな」
「このことは大きかった」
非常にというのだ。
「隋ひいては中国にとってな」
「そうだよな、二つの経済圏と穀倉地帯がつながったんだからな」
まさにとだ、久志も頷いて応えた。
「これはな」
「本当に大きいな」
「経済が潤ってな」
「流通も盛んになる」
「本当に中国にとって大きかった」
「だからだ」
その為にというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ