第二章
[8]前話
「若し覚醒剤ならね」
「大変ですよね」
「とんでもないことだよ」
「そうですね、じゃあ」
「通報しよう」
こう話してだった、店長が警察に通報してだった。
注射器を差し出して事情を話して調査をお願いした、やって来た警官もそのことを約束し注射器を持って帰った。
それから数日後だ、店長は深夜のシフトに入ったばかりの恵美子に話した。
「あの注射器から覚醒剤の反応はなかったよ」
「そうですか」
「うん、インシュリンだったよ」
「インシュリンっていうと」
「そう、糖尿病のね」
こう恵美子に話した。
「それだよ」
「じゃあ」
「そのお客さんがね」
「おトイレで注射して」
「多分急にインシュリンがなくなって」
そうなってというのだ。
「打ったんだよ」
「それでそのままですね」
「注射器を忘れていったんだよ」
「そうなんですね」
「何かと思ったら」
「そちらですか」
「覚醒剤じゃなくてよかったよ」
ほっとした顔でだ、店長は言った。
「本当に」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「紛らわしいですね」
恵美子は店長に少し苦笑いになって述べた。
「注射器なんてあると」
「おトイレに」
「本当にそれかと思いますよ」
「全くだよ、あと防犯はしっかりさせたし」
店長は店の話もした。
「この辺りの治安も不審者の話があったけれど」
「それもですか」
「ただお年寄りが歩き回ってるだけで」
その真相はというのだ。
「別に何もなかったから」
「安心出来ますね」
「うん、じゃあ今日もね」
「頑張ってやっていきます」
恵美子は店長に笑顔で答えた、そうしてだった。
店の仕事に励んでいった、物騒な話と思ったものがそうでなかったことがわかったのでこの日はほっとして仕事が出来た。そして無事仕事を最後まで出来たのだった。
コンビニのトイレにあったもの 完
2022・11・20
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