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同じ結婚式場で
第一章

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                同じ結婚式場で
 結婚式場に入ってだった。
 高橋保二郎はかつての交際相手である長野晴香にばったりと会った、高橋は眼鏡をかけた長方形の顔に短めの黒髪と小さな目を持つ一八〇程の長身の痩せた男だ。晴香は一五六程の背で吊り目で丸い感じの顔で黒髪を肩の長さで揃えていて胸がある、二人共今はタキシードとドレス姿である。
 まずはだ、晴香が言った。
「元気だった?」
「うん、この通りね」
 高橋は晴香のその言葉に率直に答えた。
「元気だよ」
「お仕事はそのまま?」
「八条木材でね」
「管理やってるのね」
「倉庫のね」
「私も同じよ」
 晴香は自分の話もした。
「この通りね」
「元気でやってるんだ」
「学校の先生をしながらね」
「十年前と同じで」
「ええ、お互いね」
「元気だね」
「それは何よりね」
 高橋に無表情で答えた。
「本当に」
「うん、それで今日はどうしてここに」
「妹が結婚するからね」
 だからだというのだ。
「それで家族だから」
「参列してるんだ」
「そうなのよ」
「僕は同僚が結婚するから」
 高橋も自分のことを話した。
「それでだよ」
「参列してるのね」
「そうだよ、まさかね」
「こんなところで会うなんてね」
「思わなかったけれど」
 それでもとだ、高橋はさらに話した。
「元気そうで何よりだよ」
「そうね、お互いね」
「じゃあね」
「またね」
 何でもないといった感じで別れた、二人は確かに付き合っていたが十年前のことでしかも円満に別れたのでやり取りは何でもなかった。
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