エピローグ
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の挨拶を告げた。
イリスの事件から、一週間の時が過ぎた。
騒がしかったイリス事件の爪痕も、今や見滝原中央駅一帯の再開発計画として、大きな再スタートを切っていた。
まだ怪我による痛みは残っているが、もういつものラビットハウスの業務を行えるほどには回復している。
そして今回入って来たのは、ハルトよりも少し年上らしき男性。赤いスーツの上に黒いコートを着ており、、背が高く、整った顔付きが特徴。彼が歩くだけで、その場はモデルの撮影会になるのではないかと感じられた。
店内をぐるりと見渡した彼へ、ハルトは声をかけた。
「お好きな席へどうぞ」
「ああ」
ハルトの案内に、男性は手頃な席へ腰を落とす。
やがて、首にかけたこれまた赤いカメラで、店内の写真を撮り始めた。
カメラには詳しくないハルトだったが、二眼レフ、という単語を思い浮かべたところ、そのカメラがハルトの姿を捉えた。
「あの……店内はいいですけど、店員の撮影はお控え願えませんか?」
すると男は、顔を上げてハルトを見上げる。
そして。
「ウィザード……か」
「え?」
ハルトは耳を疑う。
これまでの経験上、名前ではなくウィザードと呼んでくるのは、ほとんどが敵だった。
だが、ハルトは聞き間違いだと祈りながら、言葉を改める。
「あの……以前どこかで会いました?」
「どうかな?」
ハルトの問いに、男はあやふやな返事しかしない。その長い足を回して立ち上がり、ハルトの肩を叩く。
「まあ、近いうちにまた会うことになるだろう」
「会うって……」
その意図が掴めず、ハルトは目を点にした。
そのまま男は、にやりと笑みを浮かべたままハルトへ背を向ける。
「じゃあな……ウィザード」
「聞き間違いじゃない……アンタ、まさか参加者!?」
だが、それ以上のハルトの発言時間はなかった。
すでに男は、ラビットハウスの扉から出て行っており、呼び鈴が虚しく「チリン」と鳴り響いていた。
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