第一章
[2]次話
北朝鮮的窮乏生活
高峰綾子は夫の総司に夕食の時にぼやいて言った。黒髪を肩の高さで揃えた丸い目と顔にやや高い鼻と小さな赤い唇を持つ小柄でややふくよかな外見の女性である。
「物価がね」
「最近高いよね」
夫はこう応えた、やや赤がかった髪をリーゼントっぽくしている。岩の様な顔でいかついが目つきも光も優しく口元も微笑んでいる。180を超えた筋肉質の身体で自動車の修理工場を経営している。
「ガソリンだってね」
「高いわよね」
「今は何でもだよ」
一緒にカレーを食べる妻に話した。
「高いよ」
「戦争とかあって」
「そう、それでだよ」
「それで私もパートしてるけれど」
近所のショッピングモールの喫茶店でそうしている。
「もう何もかもが高いから」
「困ってるね」
「それでちょっと節約したいけれどいい?」
「仕方ないね」
これが夫の返事だった。
「それじゃあね」
「ええ、何かとね」
「これからは節約していくんだね」
「そうしていきましょう」
こう言ってだった。
妻は実際に節約をはじめた、するとだった。
「もう買うものは何でも半額とかバーゲンのね」
「安いものなんだ」
「それで家の電気や水道も」
そうしたものもというのだ。
「すぐに消したり止めて」
「無駄にはだね」
「しない様にしていきましょう」
「そうだね、じゃあ」
「ええ、気をつけていきましょう」
こう言って実行に移した、二人で意識して節約していった。
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