第五百三話
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第五百三話 上品な吸血鬼
華奈子はカーミラに話しかけた。
「いいですか?」
「何かしら」
カーミラは華奈子に微笑んで応えた。
「聞きたいことがあるのかしら」
「あの、ご趣味なんかあります?」
「あるわよ」
カーミラは微笑んだまま答えた。
「お酒にお散歩、読書に音楽鑑賞にね」
「そうしたことがですか」
「お食事も好きだしお風呂もね」
こうしたものもというのだ。
「それに観劇もよ」
「お好きですか」
「服を集めることもね」
こちらもというのだ。
「何かと好きなものは多いかしら」
「ご趣味はですか」
「それと好きな飲みものはワインで」
今度はカーミラから話した。
「特に赤が好きね」
「栄養になるからですか」
「一番ね、それで好きな食べものはステーキもだけれど」
また自分から話した。
「和食もよ」
「お好きですか」
「お寿司やお刺身もね」
即ち生ものもというのだ。
「大蒜も好きよ」
「あれっ、吸血鬼って大蒜は」
華奈子はよく言われていることから言った。
「苦手なんじゃ」
「それはごく一部の吸血鬼よ」
「カーミラさんは違いますか」
「十字架も苦手じゃないわよ」
これもというのだ。
「それと日光も苦手だけれど」
「何ともないですか」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「安心してね」
「そうですか」
「最近は本当に和食が好きで」
カーミラは笑顔で話した。
「よく食べてるわ」
「そうですか」
「そう、何でも食べるわ」
こう言うのだった、そしてだった。
カーミラは今は赤ワインを飲んだ、それを飲んでだった。
上機嫌になりそのうえで華奈子に話していった、上品で気さくで陽気な明るい顔で話していくのだった。
第五百三話 完
2022・9・1
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