1章「新しい旅先」
8話「カゲギシ砂丘 綺麗な砂の主」
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砂の中へ埋もれ始める。
「うわぁ!」
「ピカァ!」
「くっ」
「きゃあ!」
その勢いは、徐々に早まっていき、3人のすぐ近くに、巨大な凹みが出来上がってきた。
「なんだ?!」
その凹みは、次第に深く大きく広がり、3人をその中へ引きずり込むかのように、クレータ状のものが出来ていった。
「すなじごくだ!」
それを見たヒョウリが、そう叫ぶ。サトシ達は、すぐさま必死に砂から足を抜こうと片足を上げようとすると、重心の方の足がより沈んでしまい、結局両足が抜けられない状態だった。
「無理か」
ヒョウリは、そう言うと右腕の裾からモンスターボールを取り出し、空へ投げる。
「ハッサム」
ヒョウリは、ボールの中から出したハッサムに指示を出す。
「ハッサム、俺を引っ張れ!」
そう指示を受けたハッサムは、羽で宙を飛んで、彼の元へ向かう。それから、砂に埋まっていくヒョウリの両脇に腕を通して、彼を引き上げる。そして、ヒョウリは、サトシに腕を伸ばして、名前を叫んだ。
「サトシ!」
「あっ!」
サトシは、ヒョウリに手を伸びし、彼の手を握りしめた。今度は、サトシがすぐ側にいるマナオへ振り向くと、腕を伸ばして名前を呼ぶ。
「マナオ」
「あっ、くっ」
彼女は、サトシの手を掴もうと、必死に腕を伸ばそうとした。あとちょっとで、指が触れる寸前だった。
「あっ」
勢い良く、彼女の体が(すなじごく)の中心へ、吸い込まれるかの様に、沈んでいった。
「し、師匠」
「マナオ」
徐々に、二人の距離が広がっていき、もう手を掴むことは不可能となっていった。
「ヒョウリ、マナオが」
「あぁ、分かってる。だが、こっちも手が離せない。今、彼女を追うと俺らも完璧に埋もれてしまうぞ」
今の彼らは、自身と人間二人分の体重を、必死に羽の力だけで、引き上げようとしているハッサムによるもの。マナオを助ける余裕は無い上、もし向かえば、再び引き上げる事は無理だろう。そうなれば、確実にマナオと助けにいった者も含めて砂の下となる。
「くっ」
サトシは、歯を食いしばり、マナオの方を見る。彼女は涙目となり、サトシへ手を伸ばしながら、悲鳴を上げる。
「きゃぁぁぁ」
「マナオ!」
彼女が、(すなじごく)に飲み込まれる寸前だった。
「行きなさい。フワライド」
どこかから男の声が聞こえた。すると、ポケモンのフワライドが、滑り落ちるマナオに向かっていった。
「さぁ、君。その子に捕まるんだ」
「は、はい!」
マナオは、その声に大きく返事をして、フワライドの手に掴まった。そして、フワライドは一気に上昇して、(すなじごく)から間一髪で彼女を救い上げていき、そこから離れていった。助かったマナオは、そのまま安全な場所で降ろして貰うと、そのまま膝をついて、口に入った砂を吐き捨てようと、咳き込んで
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