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東方project 秋姉妹 〜人恋し神様〜
東方project 秋姉妹 〜人恋し神様〜
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た。
これで何年かは美しい紅葉を村の人々に見せることが出来るのだろう。
私はもう目を開けることはないと思う。
あの子が最後まで愛した人々を私も愛そうと思った。
あの子は太助のような存在がいてくれたから、人をずっと好きでいたんだと思う。
今の私も太助がいたからそう思える。


「沢山の紅葉でいつか皆が喜んでくれたら、太助もそれを喜んでくれるかな・・・」

私も本当は分かっていた。太助と初めて会った時、紅葉が綺麗だと言ってくれた。
素直になれなかったけど本当はとても嬉しかったのだ。
言葉に出来ないほど嬉しかった。
私達の気持ちは届いていたと実感できた瞬間でもあった。
ああいう人間もいるんだと分かっていたのに、信じることが出来なかった。
あの子の中では私達はとても大切にされていたのに。
私は自分の気持ちに素直になれなかっただけだ。
初めて好きになった人間に対しても、妹に対しても・・・。

「最後に会いたかったわ。太助・・・」

少しずつ力が抜けていく・・・・。
そして私は・・・眠りについた・・・。

遠くで妹の声が聞こえた。お姉ちゃん・・・お姉ちゃん・・・・懐かしい声だ。
もう聞けることはないと思っていた声。
私はゆっくりと目を開いた。

「お姉ちゃん!起きるの遅いよ〜。まったく、何年寝てるつもり!サボりは駄目なんだから」

夢なら覚めないで欲しい。そう思いながら私は起き上がり、力いっぱい妹を抱きしめた。

「痛い!痛いよお姉ちゃん! 」

「これは夢なのかしら・・・・? 」

「夢じゃないよお姉ちゃん。あれからね、ほら見てよ」

指を刺すほうに視線を移すと、小さな社があった。
そこに沢山のお供え物が置いてある。

「あれは・・・・? 」

「太助だよ。覚えてる?今は大人になってここに社をたててくれたんだ」

しばらく理解出来なかったけど、目の前にいる妹の存在をしっかりと確かめた。
夢ではない。そう思うと、また涙が溢れていた。
この子がそばにいるだけで涙はとても温かいものになるんだと思った。

「穣子!良かった、本当に良かった・・・。もうどこにも行かないで」

しっかりと抱きしめ、色々と伝えたいのだけれど、言葉が出てこない。

「ありがとうお姉ちゃん、私のこと大切に思っててくれて。でも私はお姉ちゃんの事も、人間も大好きだよ。だからお姉ちゃんにも大好きになってほしかった。私達に再び命を与えてくれたのも人間だよ。少し前からお姉ちゃんは人間のこと良く思ってなかったけど、大切に思ってくれる人はいるんだよ」

「・・・うん・・・・うん」

「あ、お姉ちゃん!あれを見て? 」

親子が歩いていた。父親とその娘のようだ。

「お父さんー。なんでお父さんは毎日
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