東方project 秋姉妹 〜人恋し神様〜
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貢物もなく、祈りさえない状況でずっとずっと人間の為に力を使ってきた。
もう私にも、あの子にも、ほとんど力は無い。
「人間なんて、人間なんて・・・・・大っ嫌い」
私は森へ戻ることにした。ずっと飛んでいたが、少しずつ下降していた。
私も穣子のようにもう飛ぶ力さえなくなってきたのだ。
森へ降り、私は視界の悪い道を歩いた。涙で前が見えなかった。たどり着いた時には夜だった。
「お姉ちゃん?遅かったね。どうしたの? 」
「何でも無いわ。早く寝なさい」
「そっか。村の様子はどうだった? 」
「村は・・・・とても賑やかだったわ。あなたのおかげで沢山の人が幸せになっていたわ」
私は嘘をついた。
妹に見せたくなかった。悲しんで欲しくなかった。
人間の為なんかにもう力を使って欲しくなかった。
「そっか。よかった。私ちゃんと出来てたんだね」
「そうよ。穣子、もう十分頑張ったわ。さ、もう次の秋までおやすみなさい」
「うん。そうするよ。おやすみなさい。お姉ちゃん・・・・」
私は心の中で穣子に深く謝った。ごめんなさいと何度も何度も。
ただ、これ以上無理をすれば穣子が消えてしまう。それが嫌だった。
人間なんかのために穣子がいなくなってはいけないのだ。
何日か経ったある日、少年が久々に訪れてきた。
いたたまれない姿だった。もう何日も食事をとってないのだろう。
「穣子!静葉!村はもう農作物がなくなってしまっとる!神様やったら何とか出来んのか!おかぁちゃんが死にそうなんや!俺にはご飯用意しとるのに、ずっと自分は食べてなかったんじゃ!このままやったら飢え死にしてしまうんじゃ!頼む。頼むから何とかしてくれねぇか! 」
静葉は溢れ出る怒りと悲しみを抑え言った。
「あなた達は困った時だけ神に頼るのね・・・。そのせいで私の妹は・・・・。いえ、叶えてあげたいけど、無理なの。妹の力は日々弱まっているばかり、それにもう眠りについてしまったわ。これ以上負担をかけてしまうと今後一切豊穣をあなた達に与えることが出来ないわ。残念なのだけど、今後の収穫の為にも諦め・・・」
遮るように少年は大きく声を荒げた。
「なんでじゃ!神様っていうのも本当は嘘なんじゃろ!これから沢山収穫できてもおかぁちゃんおらんかったら俺は・・・」
少年はしばらく俯いた後、膝をつき言った
「頼むわ。もう頼める人もおらんのじゃ。皆自分の家のご飯で精一杯じゃけ・・・」
しばらく沈黙が続いた・・・。
私達の間を冬を訪れる風が吹きぬけた。
「・・・ごめんなさい」
静かに、私はそうつぶやいた・・・。
少年は何も言わず、重い足取りで人里へ帰っていった。
残念だけど今の私達にはどうすることも出
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