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東方project 秋姉妹 〜人恋し神様〜
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てしまった。

何日も私達はいつもの場所で太助を待っていた。

穣子は色々と心配したが、何か事情があるのだと言い聞かせた。
心配なのは私も一緒だった。

しかし、それよりももっと気掛かりなのは、穣子の力はさらに無くなってきた事だった。
そのせいで穣子は、1日のほとんどを寝て過ごすようになった。
空気が乾燥している。ずっと雨も降っていない。
今年の秋は紅葉にも稲作にも厳しいのだろう。
秋の力は穣子と共鳴するように弱まっていった。
それでも穣子は豊穣の神として、僅かでも大地に潤いを与えてようと頑張っていた。

「無理はしないで頂戴。穣子・・・・」

私は何度も次の秋まで休みなさい、と促したが

「もうすこしだけ。」

といって言うことを聞かなかった。
そうしていくうちに、穣子はついには寝ることと大地に力を与えること以外出来なくなっていた。
私も出来るだけ人々に感動を与えられるように紅葉に力を与え、見てもらえることを祈った。
そうすれば少年のように、また私達に力をくれるのかもしれない。
私達は毎日それを繰り返したが、妹が良くなる様子はなかった。

・・・まるで人間によって力を搾取されているよう。

もう秋は終わりに近づいている。

 もう十分なのかもしれない。

穣子の力によって十分豊作になっているんじゃないかと思った。
ある日、私は穣子を残し、村の様子を見に行くことにした。
夕方までには帰ることを告げ、村へ行ってみた。

そこで見たのは信じられない光景だった。

地面は乾燥し、ひび割れを起こし、稲は全て枯れていた。
畑は何も実っていなかった。人々は飢餓で苦しんでいた。
私はその場に立ち竦んだ。

穣子の力は・・・全く届いていなかったのだ。

いや、もう穣子にはもう豊穣にする力自体なくなっていたのだ。
すぐ側で人の声がした。
何人もの男の人達が、何か大きな声で叫んでいる。
私はその声がする方へ行ってみた。
・・・言葉にならなかった。昔、私達の為に作られた社が村人に壊されていた。
忘れ去られて今にも崩れ落ちそうな社だったが、その原型が何であったのか分からないほどになっている。

「何が秋の神じゃ!不作続きで飢え死にしとる者までおる! 」
「人を殺す死神じゃ! 」

「こんな社は壊してしまえ! 」

「・・・・・・・!!!」
「・・・・・・・!!!」

私はその場を後にした。耐えられなくなったのだ。
私は悔しかった。

あんなにも人間の為に尽くしている妹を誰が見ていたのだろうか?
誰が感じていたのだろうか?
体を犠牲にし、力まで無くして、それでもなお、人々に豊穣を与えようとした妹の何を知っているのだろうか?
今日までの私達は、感謝もされず、
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