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東方project 秋姉妹 〜人恋し神様〜
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「俺か?俺はな、今年も紅葉が綺麗じゃなぁって思ってな。うちの近くのこの山は、毎年すごい綺麗なんじゃ。夕日に染まる紅葉を、ここから見るのが俺は大好きじゃやけぇ。そうか、お前が紅葉の神様やったか、毎年いいもん見せてもらっとるけぇ。ありがとな。」

「お前ー!男のくせに食い気より色気かぁ! 」

少年の話を聞いていた穣子が急に飛び掛かった。
どうやら、私の紅葉だけが感謝されたことが気に食わないようだ。

「なんで怒っとるんじゃ!? 」

その少年はしばらく妹によくわからない説教をされていた。
焼き芋が美味しいのは私のおかげだとか、栗ご飯には醤油とお塩を少し入れたほうが美味しいとか。
・・・・・ほんとによくわからなかった。

ある程度話すと穣子は満足したのか、その後は色々なことを話した。
少年の名前は太助といった。やはりこの先の農村に住んでいるようで母と2人で暮らしているらしい。
人間と話すのは久しぶりの出来事だったので、私達は太助と話すことが嬉しかった。

 私達には家族がいない。

 神であるから、私達が唯一無二の存在だから。

幸せそうに笑顔で母親の話をする少年を見ていると、少しだけ、ほんの少しだけ羨ましく思った。
でも私には穣子がいる。今はそれで十分なのだ。
よく喧嘩をしているけれど、それでも

私は妹が大好きだ。

少年とはそれから毎日のように会った。
私達は、お話をしたり、川にいったり、かくれんぼしたり、3人で色々な遊びをした。
今までは穣子と2人だけだったけど、3人で遊ぶとずっとずっと楽しかった。

本来なら私達が人間と遊ぶのは良くは無いことなのだろう。
妖怪や幽霊といった人の形をしたものと区別がつかないため、森に住んでいる私達は人間に誤解されることが多かった。あくまでも陰から人々を見守る存在でなければならなかったのだが、太助の笑顔と、秋を愛でる心に私達は元気をもらい、励まされていた。
穣子の寝る時間は相変わらず早かったが、太助と遊んでいる時間は本当に楽しそうだった。
それが私にはとてもとても嬉かった。

ある日、少年は珍しいものを持ってきた。葡萄の髪飾りだ。
見たことも無い綺麗な髪飾りだった。
最近は山が痩せているため葡萄もなかなか手に入らないのだ。
紫色で透き通るように綺麗な髪飾りだった。
少年が作ってきたものらしい。意外と器用なんだなと私は思った。
髪飾りを大切そうにポケットから出したあと、少年は見せびらかすのではなく、穣子にそれをあげた。
穣子は髪飾りを受け取ってすぐに、お気に入りの帽子にそれをつけた。本当にとても良く似合っていた。

「ありがとう!太助!お姉ちゃん見てみてー、いいでしょー」

妹は本当に嬉しそうにしていた。

「ふふ、芋よ
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