第2部
ダーマ
シーラの試練・前編(シーラ視点)
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されたら、急に力が漲って、早く動けるようになったんだけど」
「?? どーゆーこと?」
「いや、それはこっちが聞きてえよ。てかなんで急に応援し始めたんだよ」
「う〜ん、なんかわかんないけど急に応援したくなって」
「……まあ、いっか。お前のお陰で助かった。ありがとな」
「へへ、どういたしまして☆」
これも遊び人の力なのだろうか。よくわからないが、ナギちんにお礼を言われ、あたしは上機嫌になる。
そんなこんなで、幾度もの戦闘を繰り返し、あたしたちは着実に先へと進んでいった。
塔の内部はシンプルな造りになっているけれど、その分広い。さらに五階まであるので、今日一日では上りきることが出来なかった。
四階に上ったところで疲労がピークに達したあたしたちは、魔物の気配のない場所をナギちんに見つけてもらい、野宿をすることにした。塔の外で拾ってきた薪に火を点し、僅かな携帯食料にかじりつく。お互い疲労困憊からなのか、言葉を交わすことはなかった。
振り返ると、もう一週間以上宿屋で休んでいない。お酒だって一滴も飲んでないし、格闘場のことなんてここ数日ですっかり頭から消えていた。今はそんなことよりも、悟りの書を手に入れたいと言う気持ちで一杯だった。
食べ終わるや否や、ナギちんは冷たい石の床に敷物を敷くと、さっさと寝てしまった。普段戦闘で気を張ってるナギちんには出来る限り身体を休ませて、あたしは専ら夜の見張りに専念している。夜更かしはアッサラームでもよくやっていたので起きているのは苦ではない。
隣でナギちんがいびきをかいて寝ている間、あたしは一人ぼんやりと焚き火の炎を見つめながら、今までの出来事を思い返していた。
ひょんなことから勇者のユウリちゃんやミオちんと一緒に旅をすることになったけれど、最初は次の町で別れるつもりだった。さすがに初対面の人からお酒をおごってもらい続けるわけにはいかないしね。
でも、ユウリちゃんは文句を言いながらもあたしを置いてくことはしなかったし、ミオちんもあたしを仲間として接してくれた。そんな二人に甘やかされて一緒にいるうちにナギちんも仲間になり、気づけば別れるタイミングを逃してしまった。
……ううん。本当は、いつか自分が必要とされるんじゃないかって、期待していたのかもしれない。だからずっと皆の輪の中に留まっていた。
けど、こんなに弱くて足を引っ張る存在なのに、ユウリちゃんの仲間でいていいわけがない。でも、今さら皆と離れたくない。そんな相反する思いが頭の中をぐるぐる駆け巡っていくうちに、一つの結論にたどり着いた。それは、僧侶の道に戻ること。
ピラミッドでユウリちゃんが「魔法使いか僧侶がいたらいいのに」とか言ってたのを耳にしたあたしは、僧侶になればきっと皆の役に立つんじゃないかと思った。そのときはまだ迷っていた
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