第2部
ダーマ
シーラの試練・前編(シーラ視点)
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一族しか開けることが出来ないようだ。どういう仕掛けかはわからないが、きっとお祖父様の力だろう。
「扉も開いたし、中に入ろう! ナギちん!」
「あ、ああ」
こうしてあたしとナギちんは、この塔のどこかに眠っているという悟りの書を手に入れるため、塔の中へと入っていったのだった。
「くらえ!!」
バシッ!!
ナギちんの攻撃をまともに受けた一体の魔物が、吹っ飛ばされて塔の壁にぶち当たる。そのまま魔物は事切れて、ぐったりと動かなくなった。
「ナギちん、後ろ!!」
今度は大きなハチみたいな魔物がナギちんの背後に襲いかかる。あたしの叫びに、ナギちんは振り向きざまにチェーンクロスを振り下ろすも、その魔物に紙一重で避けられてしまった。
「くそっ!!」
その隙を狙って、でっかい鳥の頭の魔物がナギちんに体当たりしてきた。その衝撃でナギちんは受け身を取りながらも地面に倒れてしまう。
「ナギちん、大丈夫!?」
あたしは慌てて駆け寄ると、苛立たしげに魔物の群れを睨むナギちんを起こした。
あたしが僧侶になることを決意してからもナギちんは、いつも通り接してくれている。でも、本当のところはあたしに付き合わされていることに対してどう思っているのか。それが彼の口から語られたことは一度もない。けどそれが彼の優しさだとわかっていても、ついついあたしは甘えてしまっていた。
これまでの旅路は全てあたしのわがままから始まった。戦闘の面でもあたしは足手まといで、ほとんど何の役にも立ってない。それでもナギちんはあたしを見捨てないで、一緒についてきてくれる。
ダーマに行ってお父様やマーリンにあたしのことがバレたときも、ナギちんはあたしを庇ってくれた。なんだかんだで、ナギちんは仲間思いの優しい人なのは知っている。
でも、このままナギちんや、他の皆に守られたままでいたくはない。皆と旅を続けるなら、あたしも皆を助けてあげられる、そんな存在になりたいんだ。
あたしは大きく息を吸いこむと、ナギちんに向かって口を大きく開けた。
「お、おい、何を……」
「頑張れー!! 頑張れ頑張れナギちん!!」
あたしは出来るだけ大声でナギちんを励まし続けた。すると、ナギちんの体がじんわりと暖かくなっていくではないか。
「なんか、体が熱いぞ……!?」
あたしにもよくわからないが、とにかく今はナギちんに頑張ってほしくて、一生懸命応援した。ナギちんはすぐに立ち上がると、魔物に向かって猛ダッシュした。
そしてハチの魔物と鳥頭の魔物に向かって、勢いよくチェーンクロスを振り回すと、その早さについてこられなかった二匹の魔物は、あっけなく両断された。
「ナギちん、すごい!!」
あたしが歓喜の声を上げると、ナギちんは自分でも驚いた顔をしていた。
「なんかお前に応援
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