フェアリー・ダンス編
新世界編
決断
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木綿季……」
助けると誓った少女。俺の世界に色を塗ってくれた恩人。
そして、初めて好きになった人―――――
4年前に出会い、すぐに会えなくなってしまった。忘れられず、追いかけた。
そして、知ってしまった。彼女いや、彼女達の秘密を。
『だったら、俺が2人を助ける』
『え……?』
『だから、待ってろ。俺が行くまで死ぬな。死んだら怒るからな!!』
『……はぁ、無茶苦茶言ってるよ、螢』
そう言って彼女は笑った。
「くそ……!!」
ガンッ、という音を立てて拳を床に叩きつける。力の無い、自分が疎ましい。約束の1つも守れない自分が……情けない。
「爺さん、そこで何やってんだ」
俺が、倒れた辺りから祖父が壁の向こうに立っているのは知っていた。
「何、ワシも寝る前に運動しようかと思ってな」
「じゃ、勝手にやってろ」
「待て」
この分だと組み手をやらされる可能性が大いにあると踏んだ俺は、さっさと逃げようとしたが、叶わず、捕まってしまった。
「お前が悩んでいるのは重心のズレであろう」
「……だったらなんだ」
「お前の『それ』は修練したところでどうなるというものではない。きちんとした解決法がある。それをすればお前は本来の力を取り戻すこともできよう……どうじゃ、やるか?」
本来の力……本当にそんなものがあったのかすら最近は自信がない。仮想世界のようにそれは幻想でしかないのではないか……そんな気さえした。
「……本当に、そんなことが可能なのか?」
「可能だ。お前は『天才』だろう?こんなところで燻ってると……大切な人も助けられぬぞ」
「…………」
それは可能性という名の起爆剤。絶望の涙で湿気ってしまった自分を奮い起たせる僅かな希望。
それに、俺は――――
「……お願いします。俺にもう一度、生きる力を……守るための、助けるための、力を下さい」
「……よかろう。でもまあ、とりあえずは目の前の問題を片付けることだな。精進せよ」
「……はい」
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Side 水城冬馬
……まったく、世話のかかる孫じゃ。
だがまあ。あの茅場とかいう若造に揉んでもらったのはやはり正解だったようじゃな。
「……相変わらず、お人が悪いようですね、お祖父様」
「……陰行が上手くなったのう、桜」
「あら、褒めても何も出ませんよ。……そういうお祖父様は随分と衰えましたね。螢ごときに悟られるとは」
「……
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