暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
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決断
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よ……」

「ありがとう。2人とも。また来年な」


別れの挨拶をして、時刻を確認すると、夜の7時だった。

俺もここいらで切り上げることにして、手近な宿に入るとログアウトした。






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現実に復帰して大広間に行くと、丁度夕飯の仕度が整いつつある所だった。

沙良も一足先に帰ってたようで、席に着いている。

俺は何時も座っていた蓮兄の向かいの席に向かおうとして、ピタリと足を止めた。

蓮兄の席は上座に座る当主から向かってすぐ左側。次期当主の一位が座る席だ。そしてその向かい、当主から見て右側は二位の席。はす向かいに三位―螢の義姉にあたる人物が座る席は空席。そして、二位の席の隣は四位。沙良の席だ。

俺はさらに下座、使用人達が席につく、部屋を一区画離れた席に着く。

それを見た使用人達は驚きのあまり、ピタッと動きを止めた。

その時、上座、祖父が声を発した。


「馬鹿者、そんな所にいたら邪魔じゃろう。お前の席はここであろう」


そう言って指差すのは二位の席。


「爺さん、俺はそこに座る資格はもうない。今から万全な状態になったとしても、沙良の足下にも及ばない。それ以前に、その地位はもう捨てたはずだ」

「おい、螢。お前、弱くなって、万全じゃなくて、全身筋肉痛で今日、俺とやりあえたじゃないか。俺は結構本気でやったぜ?なのにお前は()()()も耐えたじゃないか」

「……………」

「お兄様、貴方は自分を僻みすぎです。お祖父様がもう許して帰ってこいと仰ったのは次期当主候補の二位に戻れと言っているのです。この家の敷居を跨いだ瞬間からもう貴方は……また家族の一員になり、私の兄になったのです。」

「……まったく。敵わんな、沙良には」


立ち上がって席に沙良の隣に着くと、爺さんが「頂きます」と言って食べ始める。

全員が唱和し、夕食が始まった。






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暗闇に包まれた道場に1人で立つ。

呼吸を整え、姿勢を正す。

遠くで何かがコト、と落ちた音を合図に動き出す。


バッバッ、タンッ。


水城流の基本の動きである『型』の演舞。準備体操代わりに用いられる簡単なものだ。

が、


「くっ……」


左手を振り払う動作の時にバランスを崩し、演舞が途切れる。


(……無様だな)


―――あの出来事があってから、こんな基本すら出来ないほど、俺は弱くなってしまった。



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