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レーヴァティン
第二百六十六話 東に来てその二

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「それでな」
「作れる料理人もいなかったか」
「職人もいないんだよ」 
 寿司職人もというのだ。
「だからな」
「それでか」
「どうしてもな」
「食えなかったか」
「ああ」 
 実際にというのだ。
「あっちじゃな」
「それは仕方ないな」
「他の和食は何とか出来てもな」 
 それでもというのだ。
「寿司はな」
「出来ないな」
「それでずっと食いたかったんだよ」
 こちらの世界でもというのだ。
「だから嬉しいぜ」
「それは何よりだな」
「それとな」
 久志はさらに言った。
「やっぱり寿司は西だよな」
「大阪だな」
「元々あっちのだけれどな」
 江戸つまり東京発祥だというのだ。
「けれどな」
「寿司はいや寿司もだな」
「そうだよ、他の料理もそうでな」  
 西の味付けが好きでというのだ。
「それでな」
「食いたいか」
「ああ、それで世界は違っても大坂だよな」
「薄口醤油だ」
 英雄は和食で最も重要と言っていいであろう調味料から話した、和食はやはり醤油が第一であろう。
「そして味噌もな」
「大坂のだな」
「都は白味噌だがな」
「そっちはやっぱりそれか」
「そして昆布も使う」
 こちらもというのだ。
「だしにな」
「完璧に西の味だな」
「ああ、だからな」
 それでとだ、英雄は久志に話した。
「楽しんでな」
「食っていいか」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「安心しろ」
「それは何よりだ、東京いや江戸の味はな」
 久志は英雄の話に笑顔で応えた。
「どうしてもな」
「合わないな」
「何もかもがな」
「俺と同じだな」
「ラーメンだってな」
 この麺もというのだ。
「東京のはな」
「合わないんだな」
「美味いとは思ってもな」
 それでもというのだ。
「合うかっていうとな」
「また別だな」
「ああ、ただな」
 ここで久志はこうも言った。
「こっちの世界はどっちの浮島も野球はないな」
「それはな」
 その通りだとだ、英雄も頷いた。
「外の世界程はな」
「スポーツもあるけれどな」
「それは事実だな」
「それで巨人がないことはな」
 邪悪を極めており他チームから選手を掠め取ることばかり考えている全人類普遍の敵であるこのチームはというのだ。
「本当にな」
「いいことだな」
「俺あのチーム大嫌いなんだよ」
「俺もだ」
 英雄もこのことは同じだった。
「巨人が負けるとな」
「嬉しいよな」
「巨人は負けてこそ絵になる」
「それも恰好悪く負けてこそだよな」
「あれだけ負ける姿が様になるチームはない」
「勝つと腹が立ってな」
「俺も仲間達も同じだ」
 東の浮島の面々もというのだ。
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