暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
四人で紡ぐ物語◆レッドギルド
第二十八話 アイリアの覚悟
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ではない。落下した甲冑が大きな音を立てた、それが意味することは……甲冑はかなり重かったということ。そして重い甲冑を脱ぎ捨てたボスは当然それまでより身軽になり、移動速度を増す。
 調候戦によってそれほど壁役(タンク)が要らないと分かったため今回のボス戦に参加しているタンクは非常に少ない。盾を持っているのはミズキを含めて四人のみ。素早いボスを相手に、タンクなしで攻略するなど自殺行為だ。

 つまり、この場において最も最適な判断は……
 「総員、撤退! 盾持ちはしんがりを務め、軽装備の者から先に脱出せよ!!」
 アスナの指示に反対するプレイヤーはいなかった。全員が指示にしたがって退却を開始する。軽装備の者は比較的重装備の者に背中を任せて走りだし、重装備の者は後ろ向きにじりじりと後退を始めた。

 しかし、その時だった。ボスが二刀を振り上げて飛びかかってきた。その刀の先にいるのはミズキ。同時に振り上げられた二刀は横薙ぎにミズキの盾に叩きつけられる。斬属性ではない、破壊属性攻撃。ただでさえ筋力値の低いミズキは盾ごと側方に吹き飛ばされた。アイリアが慌ててポーチから回復結晶を取り出しつつミズキに駆け寄る。
 一見タンクに見えるミズキが一撃で吹き飛ばされた姿を目の当たりにして、全員がかなり久しぶりの死の危機を感じ、軽いパニックに陥った。ほとんど全員がむしゃらに逃走を図り、一気に戦線が瓦解する。あちらこちらで青色の光の柱が立ち上がり、司令役のアスナが見つめる簡易マップからプレイヤーを示す緑色の光点が次々に消え失せる。

 そんな中、ボスはミズキとアイリアの二人に向き直った。顔面を蒼白にしたアイリアは半ば無意識に槍を握り直す。
 吹き飛ばされたミズキはスタンを喰らってしまっていた。すぐにフウカが飛んできてミズキに『キュアウィンド』をかける。状態異常アイコン右下のカウントダウンが加速し、ミズキはすぐに立ち上がった。

「ミズキ、これはまずいんじゃない……?」
「ああ、これはヤベぇな……」
 ミズキとアイリアは二人、ボスと対峙する形で取り残されてしまっていた。
 シリカとマルバはアスナの指示どおりすでに扉付近まで退却してしまっている。ここまで応援に来るのに二十秒はかかるだろう。たった二人でボスに応戦しなければならない。

 ボスが二人に向かって二刀を振り上げた。
「俺が受ける。そうしたらお前が飛び込んでノックバックさせるんだ。」
「……分かった。死なないでよ」
「こんなところで死ねるかよ」
 ミズキは盾を振り上げると身体の正面に構えた。
 ボスが二刀を先ほどと同じく横薙ぎに切り払う、ミズキはその刀を前傾姿勢で受け、バックステップを踏みながらもなんとか受け止めた。すかさずアイリアが飛び出そうとしたが、信じられない光景に一瞬動きを止めてし
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