暁 〜小説投稿サイト〜
不可能男との約束
選択の始まり
[9/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の態度を可愛いとか言って喜美が頭を撫でようとして彼がそれから嫌そうに逃げているが───否定はしていない。
つまり、この話し合いの結果で───彼は力を示してくれるという事だろうか。

「……」

何も言えなくなった。
そんな風に言われてしまったら、こちらから何も言えなくなるし、そして立場上、どうすればいいのか解らなくなってしまう。
本当ならばその結果を起こしてはいけない立場にいるのに、その結果を望んでしまう感情が生まれてしまった。
こんな調子では、自分に任せてくれた騎士の方たちに申し訳ないという感情が生まれてしまう。
そうして、困っている自分に今度こそ彼が喋りかけてくれた。

「……ネイト」

「……な、何ですの?」

彼との二人だけの会話というのなら、多分梅組の中で一番経験が少ないと思う。
十年前のあれ以降、自分は彼に喋りかけ辛くなってしまったし、彼もそんな自分を気遣ってか、自分と二人っきりになるとか、語り掛けるという事を避けるようにしていた。
集団でいる時ならば冗談を言い合えるのだが、今はこんな風に固くなってでしか話し合えない。
その事に自己嫌悪しながら、彼の台詞を聞く。

「……まぁ、俺のせいでお前もそうだが特務メンバーにも色々と悪口が言ってんのかもしれねぇが……まぁ、そこの馬鹿が言ったように───その馬鹿が剣(オレ)を振るうって決めたなら、俺は動くさ」

「───あ」

本音を言わせてほしい───嬉しかった。
今まで不動を自分に課していた剣神が、自分の持ち主である不可能の王が決めたのならば、振るわれようと言ってくれたのだ。
その言葉に自分はおろか、特務クラスのメンバーも息を吐いたり、帽子を少し下げたり、苦笑したりと反応した。
勿論、他のメンバーも似たような反応をしていたし、特に智は喜んで笑っていた。
つまりは、誰もが彼が周りから言われている批判に対して思う事があったという事だ。
良かったと本当に思った。
自分の立場からそんな事を言えるはずがないのに本気でそう思った。
だからこそ、これから自分はこの相対を本気で挑まなければいけないと思った。
方針は変わらない。
自分はやっぱり、騎士として動くから、目的は変わらない。でも、さっきまでのもやもやとしていた感情は消え失せてくれたのでまだ良しと出来る。
とは言っても、次はホライゾンに対しての罪悪感が生まれてしまうのだが、それは仕方がない事だろう。
だけど、一つの問題が消えたと相対になっていない相対で、そう判断できた。

「……話し合いは終わった? それなら熱田の宣言を受け入れる事にするけど?」

「……Jud.私からは特に何もありません」

答えは正純が返した。
もっとも、いいな? とアイコンタクトでこちらを見てからの返事でしたけ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ