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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
9月
第6章 彩れ文化祭
第125話『2学期』
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や結月はどうした? 何か用事か?」

「いや、それが……今朝なぜか結月の機嫌を損ねちゃったみたいで、部活に行かないって言われちゃって」

「お前のことなら何でも全肯定の結月がか? 非常事態だな」

「そんな大袈裟な……」


口ではそう否定してみるが、あながち間違いでもないかもしれないと晴登自身も思ってしまうほど、結月の全肯定ぶりは凄まじい。だからこそ、今回の一件は悩みどころである。


「心当たりは?」

「1限目の休み時間に、転入生を見に行こうとした時かな。何か言いたげにしてたんだけど、結局よくわかんなくて」

「あ〜そりゃお前──」


晴登が思い当たる節を述べると、伸太郎は何かに納得したような表情を浮かべる。しかしそれは決して、心当たりの意味を理解したのではなく、


「何も言われてないなら、わかんねぇな」

「でしょ? 何でだろう……」


残念ながら晴登と同様に、原因がわからないことに納得していた。
テレパシーでも使えれば結月が思っていることを理解できたのだろうが、生憎そういった魔術は持ち合わせていない。口に出してくれないのだから、わからないのも当然である。


「女心は複雑って言うけど、実際めんどくせぇな全く」

「俺はまだ結月のことを全然わかってあげられてないってことなのかな……」

「うっ、そんなに落ち込むなよ。逆にお前らでも喧嘩するんだなって俺は安心したぜ」

「安心?」

「全然特別なことなんかなくて、普通だってことだよ。まぁ、俺には普通が何かもわかんねぇけどな」


伸太郎は肩を竦めて、自嘲気味に言った。彼に恋人がいるという話は聞いたことないから、わからないとはそういう意味だろう。
しかし恋人との普通の付き合い方なんて、経験があってもなくてもよくわからないと思う。晴登自身、今までが普通だと思っていたから、喧嘩しているこの状況を異常と捉えてしまっていた。気にしすぎなのだろうか。


「じゃあ、こういう時の普通の解決法って何だろ?」

「何で俺に訊くんだよ。でもそうだな……結局、直接話し合うのが一番じゃないか?」

「そうだね……うん、そうしよう! ありがとう、伸太郎!」

「……っ、よせって。大したこと言ってねぇから」


伸太郎の提案に感謝すると、彼は頬をかいて視線を逸らした。わからないと言いながら、ちゃんと答えを考えてくれる辺り、やっぱり彼は優しい。仏頂面さえ改めれば、クラスの人気者になれると思うのに。


「それで、今日の部活はどうすんだ? 結月どころか、2年生の先輩すら来てないけど」

「う〜ん、正直魔術部って普段何してるのかよくわかんないしなぁ」

「おい、部長がそれ言ったらおしまいだろ」


そう
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