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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第132話:出てきた男
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力のレイアを倒せる可能性も十分にある。
寧ろ危険なのはクリスと透の方だろう。キャロルは以前、イグナイト起動前の装者達を圧倒した過去を持つ。今回彼女の相手をするのはクリスと透の2人だけ。状況的には以前よりも悪くなっていると言わざるを得ない。
故にこそ、2人に求められる戦いは速攻であった。
「行くぞ、透!」
クリスの声を合図に透が前に出る。また一足先に魔法使いが飛び出すのかとキャロルは鼻を鳴らした。
しかし今度は違った。先程透はキャロル達の出方を伺う意味で先行したが、今度はクリスとの連携を前提に動いている。つまり、今度は1人で突出している訳ではなく…………
「そこだ!」
「くッ!?」
透の後ろから飛び出したクリスがハンドガン型のアームドギアを構えて引き金を引く。放たれた銃弾がキャロルに襲い掛かるが、先程同様キャロルは障壁でそれを防いだ。
おかしな事に、キャロルはダウルダブラのファウストローブを纏おうとしない。あれはかなり消耗が激しいらしい。この戦いでは極力温存するつもりのようだ。
それならば都合がいい。この機に聖遺物の奪取を防ぐだけでなく、キャロル本人も拘束してしまおう。クリスはそう考え、透の影から出るとアームドギアをガトリングに変えて銃撃をお見舞いした。
ハンドガンの時とは比べ物にならない銃弾の嵐に、キャロルも防ぐのが精一杯の様だ。
「ぐぅ、くっ!?」
踏ん張るのが精一杯と言った様子のキャロル。そこに透が肉薄し、カリヴァイオリンでキャロルの障壁に斬りかかる。斬撃は障壁に阻まれるが、完全に威力を防げた訳ではないようで障壁には罅が入っている。
もう一押しと言わんばかりに、クリスがスカートアーマーから小型ミサイルを発射。不規則な軌道を描きながらも、キャロルに向けて無数のミサイルが飛んでいく。
これ以上攻撃を喰らうのは宜しくないと、キャロルは障壁の展開を止め回避に専念した。ギリギリでミサイルを避け、回避が間に合わないミサイルは錬金術で迎撃し防ぐ。
それだけでなく、逃げる間際にアルカノイズを召喚して時間稼ぎに走る。今の装者達相手だと案山子程度の存在でしかないが、弾避けにはなった。
「! 透!」
障壁を解除し、無防備なキャロルがアルカノイズの召喚結晶を放る。それを見たクリスがある事を考え付くと、透はそれを察し行動に移した。
周囲を取り囲むアルカノイズをカリヴァイオリンで切り伏せる。その最中に彼は、片方のカリヴァイオリンを投擲し離れた所に居るアルカノイズの始末も行った。
投擲されたカリヴァイオリンはブーメランの様に弧を描いて飛び、切歌と調の近くのアルカノイズまでをも切り裂いて行き――――
「……はっ!? マスター!?」
「何ッ!?」
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