タイムリミット
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し出した手を、リゲルは「ええいっ!」と掴む。
リゲルを抱き寄せ、ウィザードは体を捩じる。飛行能力を持つリゲルの存在により安定した火のウィザードは、そのまま迫る触手たちを切り弾く。
リゲルの砲台の援助も相まって、触手はウィザードたちを襲うのを防いでいる。だが、イリス本体に近づくほど、触手の猛攻を抑え切れなくなっていく。
やがて触手が、ウィザードとリゲルの二人を叩き落とす。地上で引き離された二人へ、追撃のギャオスが狙う。
「リゲル!」
「この……っ!」
砲台を盾にして、ギャオスの牙を防いでいるリゲルだが、いつまでも持つことはない。ウィザードが救援に向かおうとしても、また無数のギャオスがウィザードを襲う。
可奈美たちも、それぞれギャオスやリゲルの相手で手一杯だ。
その時。
あと少しでリゲルへ届くところで、ギャオスの体が地べたに張り付いた。
ギャオスの肉体へ、容赦なく刃が突き刺さる。標本となったギャオスの心臓部を、トドメとばかりに一際大きな刃が貫いた。
「……?」
命を拾ったリゲル自身、何が起こったのかを認識するまで数秒の時を要した。
そして、リゲルの前に舞い降りたのは、黒。
黒いローブと、青く逆立った頭髪。その顔は包帯に巻かれており、赤く光る眼差しの他、その表情を判別することが出来なかった。
それは。
「新しい……サーヴァント!?」
「フン?」
その答えは、驚くほど低い男性声だった。
包帯の中から、彼はその赤い眼を光らせる。その両腕から伸びる短い刃でギャオスの首を切り、その死を完全なものにした。
だがその行為は、イリス及びギャオスたちへの完全な敵対行為とみなされる。
ギャオスたちはリゲル、そして可奈美たちから新たなサーヴァントへその欲望の牙を向けた。
黒ローブのサーヴァントは大きく身を翻す。同時に、その両腕の刃をギャオスたちに向けた。刃から放たれた無数の赤い光が、ギャオスたちを次々に肉片へと変えていく。さらに、俊足の動きで生き残ったギャオスたちも次々と弱点を付いて行く。
着地と同時に、彼は腕を組んだ。
「……マスターからの依頼は果たした」
「……っ!」
簡潔な言葉と共に、彼はローブを大きくはためかせた。
すると、その姿はあっという間に消失。あたかも何もなかったかのようにいなくなった。
一瞬唖然とするウィザード。だがすぐに我に返ったウィザードは、茫然としていたリゲルへ呼びかける。
「リゲル!」
「はっ!」
我に返ったリゲルは頷く。
「ええ、今しかないわ! ギャオスがいなくなった今なら、奴のマスターに接触できる!」
「よしっ!」
ウィザードはジャンプし、リゲルの手を掴む。
リゲルはそのまま、ウィザードを
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