暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第131話:想いと共に羽搏く翼
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と良い。お前が護るべき要石は、もう無いのだ」
「……分かりました」
まるで飽く迄気遣ったのはこれからの戦いに支障が無いかを確認する為とでも言いたげな八紘の物言いに、翼は一瞬顔に落胆を浮かべつつも彼の言葉を静かに受け止めた。
その様子に奏は天井を仰ぎ見ながら額に手を当てる。
――あ〜あ〜、もう……――
コンビを組んでいるという事で、奏も一応障り程度には翼の家庭事情を知っている。だがまさかここまでだとは思っていなかった。
その冷え切った関係に、黙っていられないのがマリアであった。
「それを合理的と言うのかもしれないけど、傷付いた自分の娘にしては冷たすぎるんじゃないかしら?」
ここまでマリアが首を突っ込もうとするのは、恐らく彼女にはもう家族が妹のセレナしか残っていないからであろう。幼い頃に両親を失い孤児だった彼女は殊更に親の愛情に飢えている。その彼女の目の前で、家族でありながら事務的すぎる冷たい娘への態度を見せればこうなるのはある意味で当然とも言えた。
「いいんだマリア」
「翼?」
そんなマリアを翼は宥めた。マリアは、何故翼が実の父からの扱いに何も言おうとしないのか分からず眉間に皺を寄せた。
「……いいんだ」
翼はマリアに何も話さず、ただ只管にこれで良いという姿勢を崩さなかった。顔には隠しようもない程の寂しさを見せているにも拘らず、それをないものとして扱おうとしている翼にマリアはそれ以上何も言えなくなる。
気まずい雰囲気が室内に漂い出したのを見てか、奏は努めて明るい声を絞り出して場の雰囲気を変えようとした。
「ま、まぁまぁまぁ! 2人とも落ち着けって! あ、そうだ。翼、折角だからマリアに家の中案内してやったら?」
「え?」
「奏?」
「マリア、外国人だから日本の屋敷とか見た事ないだろ? いい機会だし、どんなもんか案内してやれって。な?」
無理矢理な言葉だったが、この場を抜け出す理由としては十分か。奏の提案に翼は小さく頷いて答えた。
「それは、いいけど……」
「良し、決まりな!」
「ちょっと待って? 貴方はどうするのよ奏?」
「アタシ? アタシはちょっと、うん……」
途端に何やら言い辛そうに口籠る奏に、マリアが訝し気な顔をするが翼は敢えて何も聞かなかった。コンビを組んでいるから分かる。きっと奏には奏なりに何か考えがあるのだろう。ならば自分はそれを信じると、マリアを促して外へ出た。
「さ、行こうマリア」
「えぇ……」
翼に促されて渋々マリアが部屋を出る。これでこの場に残されたのは奏と八紘、そして慎二の3人となった。
八紘は奏が敢えて翼とマリアを退室させた事に気付くと、その真意は何なのかと問い質した。
「それで
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