六十五 紅き空
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デイダラは、ナルトの一声で、キョトン、と虚を突かれた顔をした。ややあって顔を顰める。
「あ〜まぁそうだけど。でもイタチの野郎はナル坊が殺(や)っちまっただろ、うん」
裏切者には死を。
ペインの命令でイタチは消された。他でもない、目の前にいるナルトによって。
爆発こそ芸術だと信じるデイダラにとって写輪眼の力を見せつけたイタチは相容れない存在だった。
いつかイタチを超え、自分こそが究極の芸術を体現してみせる事を胸に、暁へ入ったが、結局はそのイタチもナルトには敵わなかった。
かつて暁のスカウトに来たイタチの幻術に遊ばれた経験のあるデイダラは、彼の写輪眼に芸術を見出したこともあった。
けれどそれ以上に、同じくスカウトに来た子どものほうが、デイダラへ凄まじい芸術性を感じ取らせた。
自分と似ているようでまったく似ていない金の髪を燦然と輝かせ、全てを見透かす滄海の瞳で射抜かれた、今目の前にいる青年の若き姿に、萎縮したのを憶えている。
「写輪眼の所有者ならば問題ない、ということか」
過去を思い返していたデイダラは、ナルトの言葉に、再びキョトンと眼を瞬かせた。
「え?あ〜…そうだな、うん」
「ならば俺が相手をしようか」
その瞬間、何を言われたのかデイダラはわからなかった。
三方向からの困惑めいた視線に構わず、ナルトは前髪を掻き上げる。
露わになる片目。
滄海を思わせる蒼い瞳が変わらず凛と、そこにはあった。
その海が紅へ変わってゆく。
暮れてゆく空の蒼が次第に紅の空へ雑ざり合い。
蒼い海が境界線から徐々に夕焼け色へ染め上げられてゆくかのような。
血の如き紅が蒼い瞳の中心で渦を巻いた。
「貰い受けたものだがな」
ナルトの片目に燦然と輝き、渦巻く文様。
それは紛れもなく。
──────確かに“写輪眼”だった。
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