六十五 紅き空
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、思わず追従したくなるほどの苛烈な威圧感。
「確実に仕留められるとは一概に言えない。だからお前達の力が必要だ」
だが同時に、サソリ・デイダラ・角都への賞賛をも、確かにあった。
「お前達の力はよく知っている。その強さも」
しん、と静まり返った翡翠の間。
誰もいない荒れ果てた要塞で、ナルトの声だけが響き渡る。
「故に、手を借りたい」
「…お前にそう褒められると悪い気はしねェな」
沈黙がどれほど続いただろうか。
瞬きの間かもしれないし、永劫だったのかもしれない。ようやっと声に出せたのは、ナルトの発言に対する明確な返事ではなく、当たり障りのないものだった。
けれど、ナルトを除く面々誰もが思ったことだった。
「それで?買収とは具体的に俺達に何をくれるってんだ?」
「そうだな…」
角都の当然の問いかけに、思案顔を浮かべたナルトはこの遺跡の部屋を思い浮かべる。
そうして砦全貌を透かし見るかのように、蒼い双眸を細めた。
「角都、お前には此処の隠し部屋にある巻物をやろう。賞金首を捜すより、よほど金になる。なんせ全国を渡り歩いて集められた、禁じられた巻物ばかりだからな」
「ほう?悪くないな」
かつて王の都の砦と呼ばれた此処には王がいた。
名医を隠れ蓑として、その正体は空忍の長である神農は国中の里に流れの医者として侵入し、門外不出の巻物や禁じられた貴重な巻物を奪取した。
『零尾』関連の巻物を目的としたものだったが、探し求めた貴重な巻物の数々は隠し扉の中に、さながら図書館の如く、陳列されている。
何れもが貴重な書物や失われた巻物であるからして、その価値は賞金首など比べ物にならないほどだ。
賞金稼ぎをする為、賞金首を捜す足労を思えば、ナルトの提案は魅力的なものだ。
満足そうに頷く角都を流し目で見遣って、サソリはナルトを見据える。
意味ありげなその視線を受けたナルトは事も無げに言い放った。
「サソリ、お前には俺の遺体をくれてやる。俺が死んだら好きに使え」
「その言葉、違えるなよ。坊」
(五体満足とはいかないだろうがな)と内心の本音を微塵も表に出さず、無表情で相手の希望通りの返答をくれてやったナルトの前で、常に感情の一切を露わにしないサソリが珍しくガッツポーズを取った。
「え───!!ズルいぜ、旦那!うん!」
片やナルトを自分の傀儡人形にしたいサソリと、片や爆死させたいデイダラ。
日々ナルトの死因で言い争っている双方だが、今回サソリに軍配が上がったことに、デイダラがぶうぶう唇を尖らせた。
「デイダラ、お前はイタチとの再戦を望むか」
子ども染みた癇癪をわざと当たり散らしていた
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