六十五 紅き空
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答えた。
「サソリ・デイダラ・角都…お前達に折り入って話がある」
「…それは俺達をわざわざ殺してまで話す用件なんだろうな?」
黙していたサソリが口を開く。
それは、殺害宣告されたにもかかわらず棘のある物言いではなく、むしろ興味の色が滲む声音だった。
既に自分達の死が偽装されたと察しているかのような口調だったが、実際その通りだった。
ゼツの目の前で繰り広げられた殺戮。
その惨劇をわざとゼツに目撃させたナルトは、サソリの言葉に、ふ、と口許を緩める。
サソリとデイダラの心臓を奪った角都がナルトを襲い、逆に返り討ちにされた光景。
その真実は単純明快。
影分身と幻術を併せ持って演じられた、ただのナルトの一人芝居だ。
ゼツの眼だけは必ず誤魔化す必要が、ナルトにはあった。
ナルトの思惑通り、真実にゼツは気づけなかった。
ゼツの目撃証言でペイン…長門も小南も、死を偽装されていると知らない。
知っているのはゼツに殺戮劇を観せる前に、このジャングルの奥地にある砦へ連れてこられたサソリ・デイダラ・角都本人達だけだ。
反して、噂で飛段が木ノ葉忍びに生き埋めにされたと耳にしている彼らは、ゼツ達と同様、飛段の生存も知らずに此処に集結している。
朽ちた玉座に坐したナルトは、幻術と影分身で偽った死者達を見た。
否、生存しているサソリ・デイダラ・角都を見据えて、この場の王は本題に入る。
「お前達を買収したい」
「───どういうことだ」
淡い翠緑の陽射しが射し込む。
翡翠の大広間に、金の髪がよく映えた。
エメラルドグリーンの石畳。
蜘蛛の巣のような罅割れを一瞥してから、ナルトは怪訝な顔をするサソリ・デイダラ・角都を見渡した。
「奴の手のひらの上で転がされるのも飽いたからな。此方から蜘蛛の巣に絡め取っても構わないだろう?」
「奴?リーダーのことか?」
『暁』のリーダーをペイン天道だと思い込んでいる三者三様の似たり寄ったりの反応を見遣って、ナルトは頭を振る。
「ペインも操り人形に過ぎない」
(長門にとってもな)と、既に死している死者をペイン六道として操る長門を脳裏に思い描き、思わず心中呟いた言葉を、ナルトは即座に撤回した。
長門の友人を操り人形などと今の発言は不適切だったな、と内心反省する。
頭を振って否定するその仕草が悲観めいたものに見えたのか「その奴というのは、お前ほどの存在でも敵わない相手なのか」と聊か勘違いしたサソリが眼を眇めた。
「どうだろうな」
曖昧に言葉を濁して、ナルトは微笑う。
穏やかな微笑みだが、ナルトを取り巻く気迫のようなものがサソリ・デイダラ・角都の身を貫いた。
それは、この場で跪き
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