六十五 紅き空
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木ノ葉の七班で、弟子にとっては友であったが、その本人は里を抜け、大蛇丸のもとへ向かい、その大蛇丸までもを倒したという…。
そのまま『暁』に入ったという噂は本当だったのか。
通り過ぎ様にチラリと掠め見ただけだが、自来也は確かに確信があった。
今のは───うちはサスケ本人だ。
黒髪と赤髪を、雨を透かし見るように睨み据える。
同じ三忍であり五代目火影となった綱手の命令で、サスケが大蛇丸のもとへスパイとして潜り込んだ事実も、そのまま『暁』へ侵入している真実も、自来也は知らない。
サスケがスパイだとバレないように綱手が少人数にしか真実を話していないからだ。
下剋上されたと言っても大蛇丸の弟子だったサスケの背中を、自来也は複雑な思いで見遣る。
雨隠れの里で名付けられた『三忍』のひとりであった自分と、その弟子であるサスケ。
里を抜けてしまった大蛇丸を追うことを諦めた自分と、反して未だに、大蛇丸と同じく里を抜けたサスケを追い続ける弟子のナル。
彼女の決意を知っているからこそ、そしてかつての自分とナルを重ねて見ているからこそ、自来也はサスケを決して此処から逃がすまい、と心に誓った。
黄昏が落ちた雨の街。
生温い湿気と雨の匂いを隠れ蓑にし、自来也はサスケとアマルの後を追う。
この閉鎖された里でサスケと遭遇するなんて、これが偶然であるものか。
何かしら関係があるはずだ。
自来也は、雨音と人混みに紛れ込み、黒髪と赤髪の尾行を開始する。
雨隠れの里人に崇められる存在。
───“ペイン”、そして“天使”の正体を見極める為に。
「俺達に死の宣告を下した訳を聞かせてもらおうか」
かつては神農率いる空忍がアジトにしていた王の都の砦。
白い霧が一面に立ち込める湖の向こう、万緑に染まる密林の奥にソレはあった。
ジャングルの奥地にひっそり佇む、隠された遺跡。
森厳な翡翠の大広間の玉座にて腰を据える青年の顔を、角都は仰ぐ。
玉座と言っても変わり果てた椅子だ。
右上から左下にかけて、見事な切り口を残して斜めにざっくりと切り取られ、三分の一がごっそり無くなっている。
エメラルドグリーンの石畳もまるで蜘蛛の巣のように罅割れており、まるで此処で何らかの戦闘があったかのような戦の爪痕が残っていた。
この椅子が本当に玉座なのならば下剋上した臣下に王の首が討ち取られたかのような歴史すら思わせる。
実際のところ、目の前にいる青年が若き日に十日足らずに滅ぼした組織なのだが、その張本人は素知らぬ顔で角都の問いに
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