第2部
ダーマ
シーラの転職・後編
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るのを覚悟で人生を変えにここまで来たんだ!! こいつの全部を見てもいないくせに、あんたの独りよがりな考えで責めるんじゃねえよ!!」
初対面の盗賊にいきなりそんなことを言われ、しばらく呆気にとられていたが、やがてバカ親父は不敵な笑みを作った。
「なるほど。類は友を呼ぶと言うが、お前の周りにつく人間も、下らないことを犬のように鳴きわめくことしか出来ない雑種しかいないんだな。悪いが底辺の者たちとこれ以上付き合う暇はないのだよ。我らが奉る神々にも失礼だ。早々にお引き取り願おうか」
その言葉を合図に、入り口から数人の僧侶がぞろぞろと入ってきた。おそらく今のやり取りを聞き付けてやってきたのだろう。
オレとシーラは駆けつけた僧侶たちに取り押さえられながらも、じっとバカ親父を睨み続けている。
「ずいぶんと粗野で野蛮な連中だ。二度とこの神殿に入れないようにしておけ」
『はい』
僧侶たちが揃って返事をすると、一斉にオレとシーラを拘束し始めた。
「おいこら、放しやがれ!!」
「ナギちん、ダメ!!皆を傷つけないで!!」
「なっ……!!」
シーラに止められ何も抵抗出来ないでいると、僧侶たちはオレたちを強引に本堂から退出させた。
「ごめんね、ナギちん……」
今にも泣き出しそうな顔で謝るシーラ。てか、仮にも年上なんだから、しっかりしてくれ。
「……いや、オレの方こそ事態を悪化させちまった。すまん」
でも、どうしても抑えることが出来なかった。仲間の悪口を言われて我慢できるほど、オレは大人じゃない。
すると、来たときと同じ廊下を歩かされ、通りがかった別の転職者に白い目で見られる中、あろうことか再びマーリンと遭遇してしまった。
「随分と騒がしかったが、まさか姉上が来てたとはな」
姉上というが、その侮蔑しきった目は年上の身内に対してする表情ではない。この親にしてこの子あり、ってところか。
「一族の面汚しが何の用だ? ここには姉上のような恥さらしが訪れるような場所ではないぞ」
「てめ……」
「マーリン。あたしはあなたや父様、他の皆のことを誇りに思ってる。けして僧侶という職業を軽んじてる訳じゃない」
マーリンにつかみかかろうとしたオレを制し、シーラは強い口調でそう言った。
「口では何とでも言える。けれど実際姉上は僧侶の修行を途中で投げ出した。その行為そのものが我らに対する冒涜だというのがまだわからないのか?」
「……あの時は目の前のことに必死で、周りを何も見てなかった。でも、今は違う。今度は本気で自分の職業に向き合おうと思ってるの」
きっぱりと言いきったその言葉に、マーリンは嘲るような笑みを浮かべながら息を吐いた。
「へえ。でも、父上は二度と姉上を転職させないって言ってなかったか? 転職させることが出来る人間は今この世界で父上
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ