第2部
ダーマ
シーラの転職・後編
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めた。その光はシーラへと流れていき、やがて彼女の頭に光が集中した。
頭……。石のかつら……。まさか!!
あのアイテムを盗んだとき、何故陰険勇者が何も言ってこなかったのか、今頃になってようやくわかった。
呪われたアイテムなら、何の価値もない。だからわざわざ口を出さなかったのだ。あいつのことだ、そうと知っててあえて盗んだオレには何も教えなかった可能性は高い。
てことはつまり、呪われているのはあの石のかつらだったんだ。そのかつらが解呪されると言うことは……!!
パキィィィン!!
弾けるような破壊音と共に現れたのは、長い金髪だった。石のかつらが壊れたことで、変装のため魔法のコテ?だかで巻くこともなかったストレートヘアが露になってしまう。
「ひゃああっっ!」
かつらとともにはじけ飛んだ皮の帽子を慌てて拾い、シーラは必死に頭を隠している。一方大僧正と言えば、光を失ったスクロールを持った手をぶらりと下ろしたまま、金髪姿に戻ったシーラの姿を呆然としている。
「その髪、その顔立ち……。まさか……!!」
疑問が確信に変わった途端、大僧正の表情がみるみるうちに一変する。さっきまで温和だったのに、まるで忌まわしいものを見るような顔つきに変化していった。
すると大僧正はシーラに近づくと、手を伸ばして彼女の右目の下を思いきり擦った。すると、化粧で隠していたホクロが現れた。
「化粧でごまかしてもダメだ!! その泣きボクロは間違いない!! お前、シーラだな!?」
「!!」
すると、大僧正は手を振りかざすと、先ほどこすった右の頬を平手打ちした。
「っ!!」
反動で後ろに大きく倒れるシーラ。その表情には、涙だけでなく絶望感も滲み出ていた。
「オレの仲間に何しやがる!!」
オレは頬が真っ赤に腫れ上がり立ち上がれないでいるシーラの前まで行き、かばうようにして叫んだ。けれどバカ親父はオレに目もくれない様子で、いまだにシーラを睨み付けている。
「家出した人間が、今さら何の用だ!? まさか、また転職でもするつもりか!?」
「……」
激昂するバカ親父に、シーラは何も言えないでいる。我慢できずにオレが何か言おうとしたとき、
「僧侶になる道を捨て、遊び人なんぞにわざわざ転職したと思ったら、また僧侶に戻るだと? 笑わせるな!! どこまで我が一族に泥を塗れば気が済むんだ!! お前にはもう二度と僧侶に転職する資格などない!!」
先に怒鳴ったのは、バカ親父の方だった。その怒号に身をすくませているシーラは、とても自分の父親と対話出来る状態ではなく、その光景を目の当たりにしたオレの怒りは頂点に達した。
「なあ!! 確かに他人の目から見たらそう言う風に映るかもしれない。けど、こいつはこいつなりに、皆の役に立つために必死で努力して、あんたらに責められ
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