第2部
ダーマ
シーラの転職・後編
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通ることができた。そうこうしているうちに元戦士の男がこちらにやってきた。彼が通りすぎるのを見送ると、早速オレたちは大僧正がいるところまで歩いて行く。
「次の転職者は、どちらになりますか?」
うん。初対面で敬語な分、父親の方が常識的だ。ただ一つ欠点なのは、息子の育て方を間違えてしまったと言うことだ。
「ええと、オレじゃなくて、この子なんです」
オレは一歩下がって、シーラを大僧正の前に立たせた。シーラは極力大僧正と目を合わせないように微妙に視線を外している。
「わかりました。お名前をうかがってもよろしいですか?」
「えっ!? あ……!」
名前!? マジか!! 本名なんて名乗ったら、バレちまうんじゃないのか!?
シーラも、『そういえばそうだった』みたいな顔すんじゃねえ! 一回経験したんなら覚えとけよ!
「えっと……シエラ、と言います」
苦し紛れに偽名を使い、何とかこの場を切り抜けるシーラ。てか、『シエラ』ってギリギリすぎねえか?
「ではシエラ殿。あなたは何の職業になりたいと仰いますか?」
「はい、ええと、僧侶になりたいんです」
「わかりました。では……」
大僧正はそれきり、シーラの顔を凝視したまま言葉を止めた。まさか、ここへ来て娘だとバレたのか?
「あ、あの、何か?」
「……あなた、呪われてますね?」
『へ!?』
「何か呪われたアイテムを装備してますね? この呪いを解かないと、転職はできません」
こいつが呪われている!? しかも、今身に付けているアイテムの中にあるってことか!?
「あ、あたし、呪われてるんですか!?」
本人も全く自覚がないのか、 動揺を露にしている。
一体いつから呪われてたんだ? この変装にしてからか?
だが、ここでやたらに狼狽えると怪しまれる。オレは極力平静を装う。
「教会で呪いを解くこともできますが、あいにくこのあたりに教会はありません。よろしければ私が呪いを解いて差し上げましょうか?」
「は、はい! お願いします!」
よほど解いてほしいのか、食い気味に返事をするシーラ。だがオレは心のどこかで、何か引っ掛かるものを感じていた。
そんなオレの心中など知らない大僧正は、本堂の端にある棚の中から、一つの巻物を取り出した。そして、それを持ってシーラの前に戻ってきた。
「これは解呪呪文を込めたスクロール……、いわゆる巻物です。その昔、偉大なる三賢者の一人であり、先代の大僧正でもあるイグノーによって生み出されたアイテムです。これを使ってあなたの呪いを解きましょう」
そう言うと、大僧正は巻物を広げ何やら呪文を唱え始めた。唱えている間も、オレは小さな違和感が何かをずっと考えていた。
「……古の呪縛を、今ここに解放せよ。シャナク!!」
すると、スクロールが突然まばゆく光り始
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