第2部
ダーマ
シーラの転職・後編
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もらえれば、全て解決するのだから。
シーラの案内に従い、オレたちは大僧正がいるという本堂の方へと向かった。と言っても、この神殿で一番広い部屋がそうなのですぐたどり着けたのだが。
本堂への入り口は扉がなく、中が見えるようになっている。けれど広すぎて、部屋がどこまで続いているのかわからないほどだった。天井には、イシスで見たことのあるステンドグラスと言うものが張り巡らされており、窓の代わりを担っている。
そんなバカみたいに広い室内の中央に、男が二人立っている。一人は転職希望者なのか、戦士風の装備を身に纏っており、もう一人は、マーリンと同じような服装をした中年の僧侶のようだ。僧侶の方が二、三段高い台の上に立ち、向かい合わせに立っている。
おそらく高いところにいるのが大僧正だろう。そして、シーラの父親でもある。息子のマーリンとは違い、大僧正は柔和な表情を浮かべながら転職者に何やら話しかけていた。
相手は数回頷いたあと、祈るようなポーズをした。そして、大僧正が何事か言うと、天井から青白い光が射してきた。光が消えたあとも特に目立った変化はなさそうだったが、戦士風の男は無事に転職できたらしく、歓喜の声を上げた。
「転職って、ああいう感じでなるんだな」
なんと言うか、思ったより地味だったな。なんかこう、姿形が変わるもんなのかと思ったんだけどな。
「ナギちん、職業が変わったからって、顔や体つきが変わる訳じゃないからね?」
まるで心の中を読んだかのようなシーラの発言に、オレは心臓がビクッと跳ねた。
「あ、ああ、当たり前だろ。でもさ、お前は僧侶から遊び人になったんだろ? いつからあのバニーガール姿になったんだ?」
「そりゃあもちろん、アッサラームでアルヴィスと一緒にバニーガールの仕事をしたときからだよ。あ、そういえば言ってなかったっけ?」
「あー……、だからあの人、お前と同じ服着てたのか……」
「そうそう、アルは『ぱふぱふ』のお店がメインだけど、昼間は劇場でバニースーツして呼び込みもやってるからねえ」
「『ぱふぱふ』? なんだそれ?」
オレの素朴な質問に、シーラは含み笑いを漏らす。
「ふっふっふ♪ ナギちんも気になる? なんとユウリちゃんも経験済みなんだよね☆ 興味があるなら今度アルに言っておくよ?」
「えー、あいつと同じ経験すんの、なんか嫌だなあ」
陰険勇者の話題が出てきたところで、オレはこれ以上話を続けるのをやめた。こんなところで無駄話をしている暇はない。
とりあえず、入り口にいる別の僧侶に話をすることにした。転職をしたいと言うことを告げると、若い僧侶は快く了承してくれた。
「ちょうど前の方が終わるようなので、戻られたらそのまま大僧正のところまでお進みください。付き添いの方もどうぞ」
受付の方も、ずいぶんあっさりと
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