第三十五章 あなたの作る世界なら
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ろず》延子ら、第二中の死んでいった仲間たち。
仮想世界の中で、いまも生きているであろう仲間たち。
須黒美里先生や、嘉嶋祥子。
兄貴と、弟。たった二人だけの肉親。
歌いながら、笑顔を輝かせながら、カズミはみんなのことを思い浮かべていた。
疑似人格の生体ロボットなおかつそのコピー、といえどもさすがにこのカズミの態度には面食らったようで、黒服の三人は呆気にとられていた。
といっても、ほんの数秒であったが。
あらたな白い光の剣を作り出して、それぞれ右手に強く握ると、楽しげに歌っているカズミへと一斉に飛び掛かった。
カズミはようやく歌うのをやめて、後ろへと飛のいた。
もう、笑みは消えている。
そして、拳をぎゅっと握り、真顔でいう。
「アサキ! お前の力、使わせてもらうぞ!」
青い魔道着を着た身体が、真っ白に輝いた。
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文字通りに、跳ね飛ばされていた。
黒服三人組の一人であるドライの身体が、体重などなきが如くに。
カズミは別にさしたる攻撃を仕掛けたわけではなく、踏み込みながら肩を当てたという、ただそれだけだというのに。
とはいっても、カズミの全身は真っ白な輝きに包まれており、滲み出る闘気はこれまでとまるで異なる強烈な威圧感を放つものであったが。
真っ白な輝きに包まれ、その強烈な威圧感を放ちながら、カズミはちょんと地面を蹴った。
自分の吹っ飛ばした相手であるドライに一瞬で追い付くと、空中で頭を掴んで地へと叩き付けた。
地が粉々に砕け、間欠泉の如く噴き上がった。
「♪ 見ていてくれていたんだねSTAR あれはキミだったんだねMY ANGEL ♪」
カズミが口ずさんでいるのは、星川絵里奈の歌である。
別に、歌いたい気分なわけではない。
こんな状況で、楽しい気持ちなはずがない。
ただ、冷静に考えるまでもなくもう二度とこのように歌などは歌えない気がして。
それは仕方のないことだけど、でもちょっと寂しくもあり、だからつい口が動いてしまう。
だからつい歌ってしまう。
思い残すことないように、などと考えているわけではないけれど。
「♪ 流れ。落ちる。キラッ。満ちる。わたし。キラッ ♪」
右手に、なにかを摘み持っている。
白と水色の太いストライプが走っている、度の入っていない、そしてやたらと大きな、アクセサリーとしての眼鏡である。
万延子がいつも身に着けていた、形見の品。仮想世界内の中で、至垂の率
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