第二章
[8]前話
黒と黄色の縞模様だった、それは紛れもなくだった。
「阪神柄やな」
「そうですね、そうしたネクタイを着けるんですね」
「いや、これお付き合いでや」
「お付き合い?」
「それでや」
大宮にこの時も笑って話した。
「今日取引に行く社長さんが虎キチやねん」
「熱狂的な阪神ファンですか」
「もう三度の飯と同じ位にや」
そこまでというのだ。
「阪神が好きでな」
「それで、ですか」
「阪神絡みやとな」
それならというのだ。
「めっちゃ話が弾むさかい」
「それで、ですか」
「社長さんにお会いする時はな」
「そのネクタイですか」
「そやねん、今日の風水では白がええらしいが」
ネクタイはというのだ。
「けどな」
「社長さんのことを考えて」
「それでや、流石にネクタイはな」
これはというのだ。
「虎柄が普通やないわ」
「大阪でも」
「そやで、普段はサラリーマンらしいな」
そうしたというのだ。
「大人しいや」
「そうしたネクタイですか」
「普段はな、ほなな」
劉はあらためて話した、
「ちょっと行って来るわ」
「その社長さんとお会いに」
「そうしてくるわ」
こう言ってそのネクタイ姿で外に出た、大宮はそんな彼を見送った。この時はそれだけであったが。
次第に大阪に慣れて半年もすればすっかり馴染んでいた、それで方言は変わらないが劉に昼にこう言う様になった。
「お昼道頓堀に行って来ます」
「ええな、何食べるねん」
「お好み焼きを」
「それはええな、お好み焼きめっちゃ美味いやろ」
「はい、本当に」
にっかりと笑って答えてだった。
ソースとマヨネーズをたっぷりかけたそれを食べた、そうして会社に帰るとその感想を話したがこの時も笑顔であった。
大阪のネクタイ 完
2022・10・28
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