第一章
[2]次話
大阪のネクタイ
大阪についてだ、中国の上海から日本の大阪本社に来た劉壮神黒髪を短くしていて四角い顔で小さく吊り目をした口が小さい一七二センチ程のがっしりした体格の彼は言った。
「色で言うと黒と黄色やね」
「ってもう関西弁か」
「こっちに来てすぐかい」
「いきなりかい」
「いや、学校八条学園やったし」
劉は日本の同僚達に神戸にあるこの学校出身だと話した。
「大学まで」
「それでかいな」
「日本語流暢でか」
「関西弁かいな」
「そやで、ほな働いてこな」
八条フーズ大阪本社のビルの中で話した、彼は中国から来たがまるで里帰りしたかの様に普通に喋っていた。
そして大阪の風俗にも通じていたが。
青森支社から転勤してきた大宮千鶴は違っていた、黒髪を後ろで束ねた面長で眉が太く白い肌で黒目がちの大きな目で胸の大きい彼女はというと。
明らかに戸惑っていた、それで言うのだった。
「同じ日本とは思えません」
「いやいや、日本語喋ってるさかいな」
劉はその大宮に笑って話した。
「周りの言葉も日本語やろ」
「だからですか」
「大阪もな」
「日本ですか」
「そやで」
こう大宮に言うのだった。
「これが略体字やったらな」
「中国ですか」
「それで喋ってるのが中国語やったら」
「そうなのですね」
「そやで、大阪は日本や」
紛れもなくというのだ。
「安心してええで」
「青森と全く違うので」
大宮は明るく笑って話す劉におずおずと話した。
「しかも黒と黄色が多くて」
「大阪やからな」
「阪神の色なんですね」
「野球はな」
「阪神一色ですね」
「今年も日本一になったやろ」
成績のことも話した。
「そやからな」
「巨人は最下位で」
「二十年連続百敗してな」
勝率は一割台であった。
「そうなったな」
「そうでしたね、ただ」
「ただ?」
「虎ばかりじゃないですね」
大宮はこうも言った。
「大阪は」
「というと?」
「黒と黄色でも豹柄も」
「ああ、おばちゃんのスパッツやな」
豹柄と言われてだ、劉はすぐにわかって応えた。
「それやな」
「はい、そちらもありますね」
「それもな」
「大阪ですか」
「そや、虎も豹もや」
「両方ですね」
「あってな」
そうしてというのだ。
「皆好きなんや」
「この敗色が。だからですか」
大宮は今度は劉のネクタイを見て話した。
「劉さんもですか」
「僕も?」
「そうしたネクタイですか」
「ああ、これか」
龍は今度は言われて気付いた、そして自分が今首に巻いているネクタイを見た。するとそのネクタイは。
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