第一章
[2]次話
心を開いた烏
イギリスのエセックス州に暮らすエリオット=マナリン黒髪をセットした細面の若い男性である彼は生きものの保護活動の経験が豊かである。その為本職のドライバーの傍ら保護団体にも所属してだった。
その活動にあたっていたが団体の理事からだ。
一羽のワタリガラス籠の中にいる雄の彼を紹介されて言われた。
「貴方は鳥類の保護活動もされていましたね」
「はい」
マナリンは理事に正直に答えた。
「何度か」
「ですから彼のことをお願いしたいです」
「その烏を」
「実はこの子は以前は飼われていましたが」
それでもというのだ。
「飼い主の方が亡くなられて」
「それで保護されましたか」
「こちらに。それまでは人懐っこかったそうですが」
そうした性格だったがというのだ。
「家族に先立たれ」
「そうしてですか」
「別れが辛かったのでしょう」
家族とのそれがというのだ。
「今は人間不信で臆病になっています」
「それだけ傷付いたということですね」
「しかも攻撃的です」
「警戒もしているんですね」
「烏は頭がよくです」
この鳥のことも話した。
「繊細ですね」
「頭がいいだけに」
「ですから」
それでというのだ。
「今はです」
「そうなっていますね」
「そうです、ですが」
「僕ならですか」
「何とか出来ると思って」
「今回ですね」
「お願いしたいです」
こう言うのだった。
「宜しいでしょうか」
「わかりました」
一も二もなくだ、マナリンは生きものを愛する者として答えた。
「家に引き取ってです」
「家族にしてくれますか」
「そうします、家族にも話して」
「ご両親と同居されていましたね」
「親も生きものが好きですから」
それでというのだ。
「きっとです」
「この子を幸せにしてくれますか」
「そうします」
理事に強い声で答えた、そしてだった。
その烏を引き取った、彼をロキと名付けてだった。
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