第三章
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「そちらでは食べられないでしょう」
「それはな」
「確かにな」
二人もその通りだと答えた。
「やはりな」
「日本では食べられない」
「だからな」
「有り難いですね」
「全くだ、では船の中でな」
「日本に戻るまでの間に」
「皆で食おう」
こう話してだった。
古川達はパパイヤそして他の土産のものを食べつつ日本に戻った、そして日本に戻るとそれぞれの仕事に就いてだった。
日本の復興に尽力した、そうしてだった。
日本は無事復興し彼等もそれぞれの人生を過ごし家庭を持っていった。そのうえで昭和を生きてだった。
平成に入り二十一世紀を迎えて暫く経ってだ。
部隊の同窓会が都内のあるホテルで開かれた、そこでだ。
古川は園田と再会し彼を見て言った。
「お互い歳を取ったな」
「全くですね、小隊長は今は」
「もう曾孫が出来た」
そうなったとだ、古川は園田に話した。
「この前な」
「そうですか、私は末の孫が成人式を迎えました」
「そうなったか」
「はい、もうお互い八十になって」
「戦争も終わって久しいしな」
「昭和が終わって平成になって」
「お互い色々あってな」
そうしてというのだ。
「曾孫が出来たりな」
「孫が成人式を迎えたり」
「それぞれの人生を過ごしているな」
「そうですね」
「それでだが」
ここでだ、古川は。
ビュッフェのデザートのコーナーを観てだ、こう言った。
「パパイヤがあるな」
「あっ、確かに」
園田もそれを見て話した、二人共地味なスーツ姿でありその手にはビールが入ったグラスがある。
「ありますね」
「そうだな、あの頃はな」
古川は戦争の頃を思い出しつつ話した。
「とてもな」
「日本では食べられないものでした」
「バナナとかと一緒でな」
「それであの島ではよく食べました」
「そうだな、そんなものがな」
懐かしむその顔で切られて置かれているパパイヤを見つつ話していった。
「こうしてな」
「普通にあるとは」
「日本は変わった」
「全くですね」
「世の中もな、それではな」
「パパイヤを召し上がられますか」
「そうするか」
こう園田に話した。
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