第二章
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「パパイヤというが」
「甘く美味く」
「しかも意外と腹にたまってな」
「いい感じです」
「普通木の実というものはな」
果物はというのだ。
「水気が多くな」
「あまり腹にたまらず」
「おやつ位にしかならないものだ」
「精々朝飯です」
「しかしこのバナナとな」
それと、というのだ。
「パパイヤはな」
「腹にたまるので」
「それでな」
だからだというのだ。
「有り難いな」
「全くです、では魚を食い」
「他のものも食ってな」
「このパパイヤも食って」
「餓えない様にしてだ」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「食べていきますね」
「そうして敵が来たらな」
その時はというのだ。
「是非な」
「戦いましょう」
「最後までな」
皆で誓い合った、そうしてだった。
古川も園田も他の者達もパパイヤも食べて生きていった、そのうえで敵が来るのを待っていたのであるが。
その話を聞いてだ、誰もが最初は耳を疑った。
「馬鹿な、無条件降伏だと」
「日本が負けたのか」
「そんな筈がない」
「我が国が負けるなぞ」
「それがです」
伝えに来た者も沈痛な顔で述べた。
「事実です」
「では我々はどうなるのだ」
古川はその者に部隊を率いる者として問うた。
「一体」
「国に帰ることになります」
これが返事だった。
「これから船に乗り」
「そうか、だが日本はどうなるのだ」
「降伏文書は調印しましたので」
「既にか」
「後はわかりません」
「そうか、ではまずはな」
「戻られますね」
「そうするしかない」
こう答えてだった。
彼も園田も他の者達もだった。
船に乗り込むことにした、その時島の者達がだった。
土産に色々なものを持たせてくれた、それはというと。
「果物に魚に」
「我々のものまでありますね」
「そうだな」
「有り難いですね」
「特にこれをです」
長老は古川と園田にだった。
あるものを出した、それはというと。
「どうぞ」
「パパイヤか」
「これをくれるのか」
「好きなだけ持って行って下さい」
こう言ってパパイヤを出すのだった。
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