第一章
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パパイヤに再会して
日本軍は第二次世界大戦では太平洋中を派手に暴れ回った、確かに強く占領地を瞬く間に拡げていった。
しかしだ、その反面だった。
補給が追い付かず孤立した地域も出て来ていた、それは特に南洋の諸島で見られていた。戦争も終盤になると尚更だった。
それはこの島でも同じで日本軍の者達は正直困っていた。
「参ったな」
「全くです」
陸軍少尉古川昌也面長の顔で小さな目に太く短い眉を持つ中背の彼にだ、軍曹である園田一平が応えた。背は同じ位で彼も面長であるが大きな目はきらきらしていて幾分毛深い。
「海で魚を獲って食ってです」
「何とか餓えを凌いでな」
「干し魚や塩漬けも作り」
「蓄えてもいるが」
「それだけでは」
「後は木の実ですが」
こちらのこともだ、園田は言った。
「何分我々はこの地の食いものについては疎く」
「その為にだな」
「はい、ですから」
「何をどう食えばいいか」
それがというのだ。
「わかりにくいです」
「バナナはわかるがな」
「あれは聞いていましたので」
日本でもだ。
「どういったものか」
「台湾にもあるしな」
「それで食えますが」
「パンだのヤシだのあってな」
「作物ではキャッサバもありますが」
「しかしです」
それでもと言うのだった。
「わからないことが多く」
「何を食えばいいかわからない」
「今は餓えていないですが」
「若し魚が獲れなくなるとな」
「危ういですな」
「戦って死ぬなら兎も角餓えて死ぬのは無念だ」
「全くです」
こう話した、それでだった。
この島にいる日本軍の者達は孤立し補給もなくなってだった。
食べて生きることに腐心していた、魚を獲って食い保存もしてだった。木の実を何とか食おうとした。だが。
その彼等を見て島の長老であるオッサバ黒い肌で痩せて背中がやや丸くなっている小さな目の白髪頭の彼が部隊にいた通訳の者を介して話してきた。
「島で食べられるものを教えましょうか」
「そうしてくれるか」
「はい、お困りですね」
「何をどう食べればいいか疎くな」
それでとだ、古川はオッサバに答えた。
「困っている、バナナはわかるが」
「バナナだけでは足りないでしょう」
「不安だ」
実際にとだ、古川は答えた。
「どうもな」
「では教えさせてもらいます」
是非にとだ、オッサバは古川に答えた。
「宜しければ」
「それではな」
古川はオッサバの言葉に頷き彼そして島の者達から島の食べられるものをどう食べればいいか教えてもらった、そうしてだった。
実際に多くの木の実等を食べていった、それで魚以外の多くのものも安心して食べられる様になってだった。
餓える心配はなくなった、
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