第一章
[2]次話
鰐と無花果
インドの古いお話です。
ガンジス川に住んでいる鰐の夫婦がこんなお話をしていました。奥さんが日向ぼっこをしながらご主人に言いました。
「ねえ、お猿が食べたいわね」
「奥さんお猿が好きだからな」
「ええ、特に心臓がね」
奥さんはこう言いました。
「好きよ」
「そうだよな」
「けれどね」
奥さんはここで寂しそうに言いました。
「お猿はいつも来の上にいてね」
「水を飲んでもな」
「川辺に来ることは少ないし」
「来ても頭がいいからな」
「私達がいると見たら近寄らないわ」
「そうだな」
「だから滅多に食べられないな」
「そうよね」
「だからお前もだな」
「食べたいけれど」
猿、特にその心臓をというのです。
「どうにかならないかしら」
「そうだな」
ご主人はそう言われてでした。
少し考えてです、奥さんに言いました。
「いい考えが出て来た」
「どうするの?」
「日向ぼっこが終わったら川に戻ろう」
「そうするの」
「それからだ」
「お猿が来たらなのね」
「仕掛ける」
「それじゃあね」
奥さんはご主人が何をするかわかりませんでした、ですが。
ここはご主人を信じようと頷きました、そうしてです。
川に戻ってお猿が来るのを待ちました、そお間他のものを食べて過ごしてそしてお猿が来た時にでした。
ご主人は川の中でお隣にいる奥さんに囁きました。
「ではね」
「これからなのね」
「前にいった考えを実行するよ」
「そうしてなのね」
「奥さんにお猿の心臓を食べさせてあげるよ」
「それじゃあね」
奥さんはご主人の言葉に頷いてでした。
そうしてご主人のすることを見守りました、見ればです。
ご主人はそっとです、お水を飲みに来たお猿のところに来て彼に尋ねました。
「お猿さんいいかい?」
「どうしたのですか?」
「うん、あんたいつも同じ場所にいるね」
こうお猿に尋ねました。
「そうだね」
「そうかな」
「川のこちら側にね」
お猿のいる方を見て言います。
「そうだね」
「こっち側は美味しい木の実が一杯実ってるからね」
お猿は笑顔で言いました。
「だからだよ」
「それでいつも同じ場所にいるんだ」
「そうだよ」
「いや、そう言ったら向こう側にだよ」
鰐のご主人はここぞとばかりにお猿に言いました。
「マンゴーやパンの木がね」
「実っているんだ」
「こちら側よりもね」
こう言うのでした。
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