第二章
[8]前話
「ファッションもね」
「戻すか」
「そうするのね」
「落語家さんは犯罪者じゃないから」
だからだというのだ。
「いいよ」
「そうだな、しかもな」
「連続強盗殺人じゃね」
「たまらないよ」
そんなことをした人間とそっくりではというのだ。
「だからね」
「ああ、行って来い」
「すぐにね」
「そうしてくるよ」
こう言ってだった。
加藤はすぐに髪の毛を切ってだった。
ファッションも戻した、すると。
「あれっ、戻したんですか」
「元に」
「そうされたんですか」
「イメチェンしたのに」
「そうだよ」
生徒達に憮然として答えた。
「僕はもうこれでいくよ」
「落語家さんに似てるのが嫌だったのに」
「そう言われていたのに」
「それをですか」
「戻されるんですね」
「そうするよ」
こう言うのだった、そしてまた言われた。
「本当にそっくりだね」
「守屋菊蔵さんと」
「まるで双子」
「ドッペルゲンガーとか?」
こう言われる、だが。
彼はもうだ、それでよかった。
「犯罪者そっくりよりずっとましだよ」
「そうだな」
「それはね」
「その通りだよな」
「だからね」
周りに話した。
「これでいくよ、ただ痩せたから」
「ああ、その分な」
「落語家さんとは前に比べてそっくりじゃないな」
「確かにね」
「そうなったとは思うよ」
こう言うのだった、そしてだった。
加藤は髪の毛を短いままにしてファッションはスーツに戻した。するともう犯罪者そっくりではなくなった。今も落語家に似ていると言われ実はその落語家は好きではあなかったが犯罪者そっくりでないならいいとして生きていった。
こんなそっくりさんは嫌だ 完
2022・10・25
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