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<ポケットモンスター トライアル・パレード>
1章「新しい旅先」
5話「新しい仲間 弟子志望 マナオ」
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持つホネこんぼうを杖代わりにして、斜面を登っていた。


ヒョウリは、左腕にしている腕輪に内蔵した時計を見た。
「もう、夕方だ」
(既に時刻は、16時過ぎ。季節的に、あと1、2時間もすれば、日は落ちて真っ暗だろう)
「どうだ、ルカリオ」
「・・・」
ルカリオは、ヒョウリの言葉に返事をしない。それだけ、今は集中をして、まだマナオ達が見つける事が出来ていないのだろう。それを隣で、見ていたサトシが心配しつつ見ていた。
「くそ、まだ見つからないか」
「仕方ない。この森は、結構広い。野生のポケモンもいるだろうし、ましてや」
そうヒョウリが話していると。
「ファ!」
突然、ルカリオが言葉を発した。
「どうだ?」
「ファル、ヴァルヴァル」
ルカリオは、何かを話すと手招きをした。そして、そのまま森の奥へと走って行った。
「行くぞ」
「あぁ。待ってろ、マナオ」


「さ、寒い」
あと、半刻もしない内に、日は落ちて完全に、森は真っ暗になるだろう。雨はまだ降っている。いや、先程より増していた。マナオは、斜面に背を倒し出来るだけ楽な姿勢を取っていた。彼女は、怪我をした左足の痛みに耐えながら、助けを待っていたのだが、雨で増す中、夕暮れも重なって、辺りの気温が一気に落ちていった。そして、それに比例するかのように彼女自身の体温も落ちていく。全身が雨で濡れている上、雨宿りも出来ない、火を焚いて暖を取ることも出来ない状況では、彼女の体温は徐々に落ちていった。このままでは、低体温症にもなりかねない。
そんな危険な彼女は、やっと助かろうとする気持ちが、また消えていっていた。
「私、このまま、・・・死んじゃうのかな」
また、彼女はネガティブに、自分の悲惨な末路を口ずさむ。だが、仕方ないかもしれない、この状況で諦めない心を持つのも、そう簡単なことではない。普通なら、死んでもおかしくない状況で、助かる望みが無いに等しいなら、尚更だ。
「・・・だ」
彼女の両目から次第に涙が溢れてきた。
「嫌だよぉ」
彼女は、自分の悲惨な末路を否定した。
「私が、今まで悪いことした罰なのかな」
彼女は、今ままでの行いを思い出してきた。両親が死んでから、他の村の子と喧嘩したことや、トレーナーになってから逃げるように村へ戻って、それからやり始めたバッチ狩り。彼女自身、それらは悪いことだと自覚はしていた。その事への報いが今来たのだと思いはじめた。
「お、おとうさん、・・・おかあさん」
彼女は、死んだ両親を呼ぶ。
「おばあちゃん・・・ごめんな、さい」
次に、まだ生きている祖母の名前を出す。
「・・・し」
そして、彼女の体力が限界に差し詰まっていた。もう声に力が入らないのか、はっきり言葉が出てこない。そして、最後の喉に力を出して、名前を呼んだ。
「サ、・・
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